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ソーラー・インパルス2、大西洋横断へ出発 !

「この大西洋横断で、クリーンテクノロジーはきちんと機能し、今後どこにでも応用できるというベルトランのビジョンをさらにアピールできる」と、相棒の操縦士アンドレ・ボルシュベルクさんは語った Keystone

米ニューヨークに今月11日に到着したスイスの電動飛行機「ソーラー・インパルス2」は20日午前、最後の難関である大西洋横断の旅に出発した。次の目的地はスペインのセビリアだ。

 これは、太陽光エネルギーだけで世界一周飛行を目指す挑戦の、15番目の行程にあたる。次の目的地のスペイン・セビリアまで、4日間昼夜を通して飛行する。

 操縦士は、ベルトラン・ピカールさんだ。もう1人の相棒の操縦士で、太平洋を横断したアンドレ・ボルシュベルクさんは、他のスタッフと一緒にモナコの司令室から飛行機の進行状況や気象状況をチェックし、ピカールさんに指示を出す。

 一番要求されるのは、気象状況を正確に予知できる力と、気象の変化に応じて柔軟に対処できる力だ。司令室の代表は、すでにニューヨーク離陸前に、「大西洋横断中に、必ずや航路の変更が出てくるだろう」と予測している。

 中国からハワイまでの太平洋横断の行程でも、太平洋上の気象条件が悪化したため、急きょ名古屋の県営名古屋空港(小牧空港)に着陸している。

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ソーラー・インパルス 最悪の事態に備えたパイロット訓練

このコンテンツが公開されたのは、 世界一周飛行に挑戦中の電動飛行機ソーラー・インパルス2。中国からハワイまでの区間を飛行中、太平洋上の気象条件が悪化したため、急きょ名古屋の県営名古屋空港(小牧空港)に着陸し、現在は日本で天候が回復するまで待機している。今後待ち受けるのは、最大の難所と言われる太平洋および大西洋の横断だ。そこで起こりうる最悪の事態を想定したパイロット訓練とは、一体どのようなものなのか。(SRF/swissinfo.ch) ソーラー・インパルス・プロジェクトは、太陽エネルギーを主に再生可能エネルギーの普及促進をサポートするために立ち上げられた。中国の重慶市と南京市に途中着陸したのは、世界でも最も人口の多い中国で、太陽エネルギーのプロジェクトに対する意識を高める狙いがあったからだ。 この世界一周飛行は2015年3月9日、アブダビでスタートした。太陽エネルギーだけを動力とするこの飛行機は四つの大陸と二つの海を横断し、およそ500時間を掛け、3万5千キロの距離を飛行する。 その中でも極めて危険だといわれているのが、太平洋と大西洋の横断飛行だ。 そのためパイロットであるアンドレ・ボシュベルクさんとベルトラン・ピカールさんの二人は、太平洋上でコントロールを失うという最悪の事態を想定した訓練を出発前に行った。

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 しかし、もし着陸できる島などがなかった場合、どうするのだろうか?海上飛行での最悪の事態を想定して、2人の操縦士は訓練を受けてはいる。それによると、コックピットからパラシュートで脱出し、パラシュートに付属している小型のボートで漂流し、近くを通る船に助けてもらう形になるという。

 こういう最悪のシナリオを回避し、次の目的地であるスペインのセビリアに無事に到着することを祈る。


 

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