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ジュネーブでE-投票初の試み

週末行われる国民投票で、ジュネーブ州が初めてインターネットを利用した電子投票を導入する。国民と当局の双方向性を促進するe-政府・サイバー行政化を目指す連邦政府の委託を受けた、試験的プログラムだ。

全国および全欧州が見守る中、今週末の国民投票でジュネーブ州の16000人の学生が電子投票を行う。連邦法では電子投票に関する法制が整っていないので、連邦レベルでのe-デモクラシー化には時間がかかる。が、ジュネーブ州では電子投票に関する州条例が導入済みだ。今週末の実験的電子投票が成功したら、今年後半の投票では毎回電子投票を実施する世界初の自治体となる。スイスの一般家庭の半分以上はインターネット・ユーザーだが、ジュネーブ州ではその平均を上回る。また、ジュネーブはworldwide web(www)の生みの親である欧州原子核研究機構(CERN)や、世界最大規模のテレコミュニケーション・フェア、そして多くのハイテク企業の本拠地でもあり、このような試験的プログラムには適切な土地柄だ。

電子投票には、障害や病気で投票所に出向けない人々や在外スイス人の投票が容易になるという大きな長所がある。投票に先立って実施された世論調査では、電子投票が導入されたら投票率が10%増になると見込まれるほど歓迎されていることが判明した。調査対象となった人の75%が、電子投票が正式に導入されたら棄権しなくなると答えた。スイスの直接民主制度では、新しいバス停の設置など市町村レベルから州、国政(法改正や国連加盟など)に至るまで、最終決断は国民投票に委ねられるので、年に何度も投票させられる。投票が便利になれば棄権率が低くなるのは当然といえよう。

が、電子投票にはリスクも伴う。ハッカーやウィルスによる被害は否定できず、投票の匿名性も保証されない。今回の投票では、シークレットPINコードを登載した投票カードのしようなど一連の措置が取られた。CERNとジュネーブ大学の研究者、さらに経験豊富なハッカーらが防御システムの弱点を調査したが、万全だということだ。問題なのはユーザーだ。各家庭のコンピューター・セキュリティーは、選管当局では管理できない。が、郵送による投票にしても100%の保証はできない事は一緒と関係者らはいう。また、連邦および各州当局は、国民のデジタルデバイドの問題もあり、州政・国政とも完全に電子投票化を進め従来の投票を廃止することは全く考えていないと強調する。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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