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ジュネーブ大グループ、糖尿病の病因を解明

ジュネーブ大学の研究グループが、糖尿病全体の95%を占めるインスリン非依存型の病因を発見、治療法開発への期待が高まる。

ジュネーブ大学の研究グループが、糖尿病全体の95%を占めるインスリン非依存型の病因を発見、治療法開発への期待が高まる。

先進国の人口の5%が、インスリン非依存型糖尿病を患っているという。ジュネーブ大学医学部形態学研究課のパオロ・メダ教授率いる研究グループは、インスリン非依存型の病因解明と治療への突破口を開いた。

病因解明の鍵は、なぜインスリンの分泌異常(不足)が、ある日突然起きるのかという問題だ。メダ教授によると、インスリン非依存型の特徴は、インスリンを分泌する細胞が、数は正常で、ホルモン分泌も正常に行うが、ブドウ糖濃度の上昇を抑制する能力を失うことだという。

従来研究者らは、個々の細胞に異変が起きるためだと、仮説を立ててきた。が、メダ教授のグループは、アプローチの仕方を変えてみた。「インスリンを分泌する細胞は常に発達し、グループとして機能することに注目した。また、これらの細胞は他の体内の細胞と同様、シグナルを交換している。そのため、我々は機能異常は、細胞自体に原因があるのではなく、むしろインスリン細胞間のコミュニケーションによるものではないかとにらんだ。」。

メダ教授のグループは、インスリン細胞間を結合するタンパク質の量の増減が、細胞の正常な機能を止めるという事を発見した。タンパク質の量のあらゆる変動が、ブドウ糖濃度の変化を引き起こすことが判明した。この発見により、研究者らは今後、インスリン細胞よりも、このタンパク質に注目することになる。

メダ教授は、この発見により、治療の対象がより明確になったと言う。タンパク質を調整する薬はあるが、現在のところ研究用に限られているという。「これらの薬を人の治療に用いられるよう、開発しなければならない。」とメダ教授は述べた。

ジュネーブ大グループの研究発表は、15日に出版される「Journal of Clinical Investigation」に掲載される。



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