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スイスと日本のバイオテクノロジー協力強化

有望なバイオテクノロジー企業の研究室。日本の企業との協力研究も今後期待される Keystone

6日、在京スイス大使館公邸にてスイスバイオテク協会(SBA)と日本の(財)バイオインダストリー協会(JBA)が両国のバイオテクノロジー産業の発展のため、相互協力の覚書を交し調印式が取り行われた。

このほど交わされた覚書をきっかけに、スイスと日本のバイオテクノロジー産業が相乗効果により一層発展されることが期待される。

 相互協力覚書には、双方のインターネットサイトのリンク、企業や研究所および科学者同士の交流の強化やスイスと日本による共同研究開発プロジェクトの活性化などを通し、相互のパートナーシップを一層強化することがうたわれている。

長年におよぶ交流

 今回スイスと日本が覚書を結ぶに至ったのは、SBAのオレステ・ギザルバ副理事長とJBAの別府輝彦会長が長年にわたっての研究活動を通し、交友を暖めてきたこともある。また、スイスから日本のバイオテクノロジーのメッセ「バイオジャパン」へ、日本から「バイオ・スクエアー」へのミッションの派遣や、展示会への企業・団体の参加などで深い関係を保ってきた。

 JBAの三村邦雄担当部長は「日本はこれまで、米、英、仏、独などのそれぞれの地域のバイオテクノロジーの関連協会と協定してきた。今回、スイスとの覚書を交わすことで、両国のバイオクノロジーにおける具体的なビジネスのきっかけが作られるよう願っている」と語った。

スイスのバイオ

 スイスのバイオテクノロジー産業は欧州で6番目に位置し、1人当たりの人口比率で見ると世界で最もバイオテクノロジー企業が密集しているとされる。スイス全体で見ると、チューリヒおよびローザンヌ連邦工科大学を中心とした2つの地域と化学薬品企業が集まるバーゼル、イタリア語圏と合計4つの地域に分けられ、特にバーゼル地域の「バイオ・バレー」やフランス語圏の「バイオ・アルプス」と名づけられた地域は、特に注目されるバイオテクノロジーの研究所や企業が集中している。

 セロノ(Serono)、プリオニクス(Prionics)、アクテリオン(Actelion)など大企業のほか、中小のバイオテクノロジー関連企業は、1997年以降2004年までに2倍以上になり、現在およそ250社を数える(SBA発行資料)。バイオ産業にかかわる人口は、1万4000人。この分野ではスイスからノーベル賞の受賞者を出した経験もあり、関連の特許は5000万件にも上る。スイスのバイオテクノロジーは高い評価を受けているといえよう。

 他の産業と違って単価が高くとも需要があり、スイスの技術を反映できる産業としてのバイオテクノロジーは、政府ももっとも力を入れており、国民総生産の2.6%に当たる80億フラン(約7000億円)に上る研究開発費の3割は政府の援助金で占められている。

swissinfo、 佐藤夕美(さとうゆうみ)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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