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スイスの国際競争力7位に IMD国際競争力年鑑2002

ローザンヌ国際経営開発研究所(IMD)は29日、「ワールド・コンペティティブネス・イヤーブック(国際競争力年鑑)」2002年度版を発表、世界経済の下降のためスイスの国際競争力は昨年10位から7位に返り咲いた。1位は米国が2年連続、2位はフンランド(昨年3位)で日本は昨年26位からさらに30位へ後退した。

「ワールド・コンペティティブネス・イヤーブック(国際競争力年鑑)」は世界49ヶ国・地域の、賃金、国民の貯蓄額、調査・研究への投資、教育、特許数、政府の財政赤字など286項目を比較したもの。国際競争力調査のディレクター、ステファン・ガレリ教授は、「世界経済が下降した中でスイス経済は安定していたことから、今年度はランクが上がった。2001年には調査対象49ヶ国中43ヶ国のGDP成長率が3%かそれ以上だったが、2002年に成長率3%を超える国は14ヶ国だけだ。シンガポールは2位から5位に転落し、香港(昨年6位から今年9位)、アイルランド(7位から10位)もそれぞれ後退した。」という。

スイス経済は安定しているようだが、同年鑑によるとスイスは企業役員と経営トップの質が低いという。昨年はスイス航空の破たん、エンジニアリングクループABBの巨額負債などでスイス人の経営能力の低さを世界に露呈したが、「企業役員会の信頼性」では昨年17位から31位、「上級管理職の信頼性」では19位から25位にランクを下げた。さらに、スイスは「有能な上級管理職」と「熟練労働者」が不足しているが、「外国人熟練労働者の雇用」と「外国人管理職の雇用」でバランスをとっていることが判明した。

低失業率、低インフレ率、低利率などが示す通り、全体的にスイス経済のファンダメンタルズは健全だ。グローバリゼーションに対する世論は批判的だが、経常収支の黒字続きが示す通りグローバリゼーションのスイス経済への効果は明らかだ。スイスの評価が低かったのは、柔軟性と適応性(40位)、保護主義で外部に対する敵愾心が強い(31位)、厳しい移民政策(32位)、外国企業の公共事業受注制限(29位)、経済的な新局面への適応速度(29位)、男女の賃金格差(23位)、政財界での女性の地位(35位)。反対に高い評価を受けたのは、透明性(3位)、効率の良さ(5位)だった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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