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スイスのNGO、子供人身売買撲滅キャンペーン開始

NGO「Terre de Hommes」(本部ローザンヌ)は子供の人身売買撲滅を目指す2年間の国際キャンペーンを開始、ジュネーブで記者会見が行われた。

「Terre de Hommes」によると、1年間に何十万人もの子供達が家族から奪われ、国外に売り飛ばされている。売られた子供達は、身元、健康、教育はおろか、自分の家族の元で育つ権利すら奪われている。同NGOのベルナルド・ボエトン子供の権利部長は、「これは現代版奴隷だ。子供達だって人間だ。だが、子供達は自分では搾取から身を守れない。デイーラーらは、そこに付け込んでいる。」という。

子供の人身売買は、今年4月、西アフリカ出身の子供達40人を乗せたエチレノ号がベニンで発見された事から発覚した。ボエトン部長は記者会見で、欧州でも何百人ものアルバニアの子供達が強制的に、または偽りの契約で連れ出され、ギリシャのアテネの路上で働いていて、やがて他の西欧の都市で売春や麻薬取引に使われているという事実を証言した。「現行の法規では、子供達はたとえ捕まってもすぐ釈放されるという事をディーラーらは知っている。釈放された子供達は、ディーラー達のネットワークに連れ戻される。」とボエトン氏はいう。子供達は、逃亡したり日々のノルマの金額を稼げなかったら、家族に危害が及ぶという恐怖に縛り付けられているという。

「Terre de Hommes」は、社会の意識を高める、子供達を救出し家族の元に返す、ディーラ=を追跡しやすい国内および国際法制を整えるという3項目を主眼とした、子供売買撲滅キャンペーンを開始した。そして、児童の権利条約に「子供の人身売買、買春および児童ポルノ禁止」という条文の追加と、国連条約に国際人身売買組織撲滅の条文の追加の実現を目指すという。「問題は、これらの条約は子供達が発見されてから適応されるということだ。売られた子供達のほとんどは身元がわからないし、どこにも住民登録などされていない。」とボエトン部長は指摘する。ボエトン部長によると、ストリートチルドレンの3分の2は救出後社会福祉施設で受け入れられる。そこで、ボエトン氏は、公共やNGOの保護施設から逃亡した子供達を追跡できるような法制度が必要だという。「ここ西欧諸国でも何百人もの子供が行方不明になっているのに、社会は全く無関心だ。」とボエトン部長は人々の認識の低さを批判する。

「Terre de Hommes」は、アルバニアで、教師と親を対象に、子供達がギリシャに売り飛ばされる危険が現実のものであるという事を認識させる活動を開始した。また、アルバニアの子供達3000人を対象として、ギリシャに売られ虐待されレイプされた子供達のビデオを見せて、自分達が人身売買の危険に曝されている事を認識させる活動も行っている。「大人達よりも子供達の方が、真剣に受けとめてくれる。」とボエトン氏はいう。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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