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スイス長者番付2002 1位スウェーデン人「イケア」経営者

1位のイケア経営者カムプラド氏(左)とランク落ちした銀行家エブナー氏(右) Keystone

経済誌「ビランツ」の2002年スイス在住(国民ではない)長者番付が発表された。今年の1位は大型家具店チェーン「イケアIKEA」を世界に展開するスウェーデン出身のイングヴァール・カムプラド氏。

スイスに住む大富豪トップ300の資産総計は3400億スイスフランで、昨年より500億スイスフラン減少した。

株式市場の大暴落とリセッション(景気後退)の影響で、ビランツ誌の恒例「スイス大富豪ランキング」に大変動が起きた。今年首位に躍り出たのは、大型家具専門店チェーン・イケア経営者のイングヴァール・カムプラド(Ingvar Kamprad)氏(76)で、推定資産140億から150億スイスフラン。スウェーデン出身のカムプラド氏はローザンヌ在住25年。イケアは「家族経営」体制を維持していること、また客層を低所得層に絞り安価な製品を中心とした経営戦略が世界的な不況の影響を大して受けず、昨年3位から1位に上がった。

2位は、昨年と同じテトラパック製造のロイジン一族で、こちらもスウェーデン人。スイス人は3位にようやく登場、昨年の4位から順位を1つ上げた、製薬会社ホフマン=ラ・ロシュ(本社バーゼル)の創業経営者一族・アーリ、ホフマン、ザッハー一族の資産は、昨年と同じく100億スイスフランと推定される。

一方、今年の「負け組」は、ジュネーブのバイオテク企業「セロノ」のエルネスト・ベルタレッリ氏。セロノ・グループの株価急落が災いし、2000年のロシュと同点1位、昨年の単独首位から今年は4位にころがり落ち、資産額推定70億から80億スイスフラン(昨年は130億から140億スイスフラン)。

今年の特徴は、「株依存型」の富豪が順位を落としたこと。大富豪トップ300の資産総計は、一昨年から昨年にかけて300億スイスフラン、昨年から今年は500億スイスフランと二期連続減少した。が、彼等の平均資産額は11億スイスフラン、うちトップ10は680億スイスフランも持っているという、庶民にはまるで現実味のない金持ちなのだ。
今年、富豪リストから消えたのは26人。特記すべきは、銀行家のマルティン・エブナー氏。株の暴落で40億から50億の資産を失い、エブナー氏経営のBZグループの4人のパートナー全員と一緒にランキングから去った。

その他の大富豪トップ300には、常連の右派・人民党のポピュリスト政治家・ブロッハー議員(Ems-Chemie経営者)が資産20億スイスフランで今年も30位に入った。スウォッチ・グループのニコラス・ハイエク氏も推定資産20億スイスフラン。F1ドライバーのミハエル・シューマッハーは6億スイスフランで、「スポーツ部門」ではBernie Ecclesstoneの50億スイスフランには遠く及ばなかった。
ポップシンガーのシャニア・トウェイン、フィル・コリンズ、シャルル・アズナブールなどもいる。

さらに、ジュネーブの実業家イェスラム・ビンラディン氏(オサマ・ビンラディン氏の異母兄)も、資産推定1億から2億スイスフランでトップ300入りした。

スイスの大富豪が住んでいるのは、チューリッヒ、ジュネーブ、ヴォーの3州にほぼ集中している。トップ300中80人がジュネーブ州とヴォー州のレマン湖地方、68人はチューリッヒ州に住んでいる。スイスで最も失業率の高いのはジュネーブ州(平均4%以上)という庶民の状況との対比は感慨深い。

また、毎年の事だが、これら大富豪300が、この国の資産の20%以上を占めている現状をビランツ誌は「民主主義にとって問題だ」と苦言を呈する。「国民の3%の資産が、残りの97%の全財産と同額などというのは、民主社会として異常だ。」と同誌は主張する。

1位はイケア経営のスウェーデン人カムプラド氏。
大富豪トップ300の資産総計は推定3400億スイスフラン。
「株依存型」の富豪がランクを下げたのが今年の特徴。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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