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スイス 決勝トーナメント進出ならず

バルネッタ選手、リヒトシュタイナー選手からボールを受けて、ゴール前で攻める Keystone

フランスが敗れた。イタリアも荷物をまとめた。強豪とうたわれたチームが予選落ちで南アを去る中、スイスは現地時間の6月25日夜、対ホンジュラス戦に臨んだが、期待はずれの0対0で試合を終え、サッカーW杯決勝トーナメント進出を逃した。

リーグ戦最後の試合を行ったH組。同時進行したチリ対スペインは2対1でスペインが勝利し、この両チームが決勝に進むことになった。

攻めが足りず

 スイスは3位で予選を終え、ワールドカップ ( W杯 ) 南ア大会を去る。ブルームフォンテインで行われた対ホンジュラス戦はもともと、予選通過の決め手となる試合となると見られていた。これまでの試合結果から、スイスは2得点以上の差でホンジュラスに勝てば、プレトリアで平行して対戦しているスペインとチリの試合結果に関係なく、決勝トーナメントに進めるはずだった。しかし、スイスは無得点のまま、16強入りの夢ははかなく消えた。

 後半からプレーしたベテランのハカン・ヤキン選手は試合後のインタビューで
「攻撃のクオリティは悪くなかったと思う。チャンスも多くあった。トライしたが、今日はうまくいかなかった」
と語った。

 オットマー・ヒッツフェルト監督も
「覇気に欠けたし、1対1のプレーに弱かった。パスのミスが目立ち、運もなかった。もう少し正確なプレーが必要だった。非常に残念だが、攻めの力が足りなかった」
 と試合を分析した。

数多いチャンスも活かせず

 海抜約1500メートル、気温は氷点下近い環境の中、ヒッツフェルト監督は初戦のスペイン戦と同じメンバーを先発に送った。故障で初戦に出られず、チリ戦でも途中交替したアレックス・フライ主将は控えに回った。寒さという面では、冬にもゲームが行われているスイスは中米の南国ホンジュラスより優位だ。だが、そのホンジュラスも決勝トーナメント進出のわずかな望みを捨てていない。

 スイスはスペイン戦のときよりも高いラインで守りに入ったが、守備のもろいホンジュラスに対してはまだ下がり過ぎ。また、ゲームをリードしていたにもかかわらず、全体的にテンポや創造性に欠け、フリーキックやコーナーなど数回訪れたチャンスを活かせないまま前半戦を0対0で終了した。

 その間、プレトリアでチリと対戦していたスペインは2点を獲得。このままいけば、スイスは1点差で逃げ切れば決勝トーナメント進出が決まる計算となった。

押しが足りず無得点

 後半戦、ヒッツフェルト監督はジェルソン・フェルナンデス選手に代わってヤキン選手をピッチに送った。だが、スイスは打開策を見出せず、ミスが続く。一方、プレトリアではチリが1点を取り戻し、スイスは再び2得点が必要な状況になった。ここでヒッツフェルト監督はフライ主将をウォーミングアップに送った。

 65分、68分とヤキン選手がフリーキックに臨むが、ゴールには届かず。その後、ブレイズ・ヌクフォ選手に代わってフライ選手が起用され、スイスはエレン・デルディヨク選手と合わせて3人のフォワードで攻めの体制に入った。

 その後もチャンスは何度も訪れたが、残り時間15分になってもスイスはどうしてもゴールを決めることができない。ホンジュラスも時折ゴール前に詰め寄る。78分、ベンヤミン・フッゲル選手に替わって若手のシェルダン・シャキリがピッチに入った。スイスの押しはさらに強まったが、ホンジュラスも守りが薄くなったスイスのゴール前に攻め入る。1点をめぐる激しい攻防が続いた。

 ロスタイムは4分。だが、試合は結局流れを変えず、0対0の引き分けに終わった。スイスの守りは「鉄壁」と名高いが、これからの課題は効率的な攻撃ということになりそうだ。

小山千早 ( こやまちはや ) 、swissinfo.ch

6月16日 対スペイン戦 1:0
6月21日 対チリ戦 0:1
6月25日 対ホンジュラス戦

決勝トーナメント1回戦
6月26日 ウルグアイ‐韓国、米国‐ガーナ
6月27日 ドイツ‐イングランド、アルゼンチン‐メキシコ
6月28日 オランダ‐スロバキア、 ブラジル‐チリ
6月29日 パラグアイ‐日本、スペイン‐ポルトガル
準々決勝
7月2日および3日
準決勝
7月6日および7日
3位決定戦
7月10日
決勝
7月11日

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