欧州連合(EU)はタックスヘイブン(租税回避地)とみなされる国のリストからスイスを削除する方針だ。EUの関係文書で明らかになった。
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EUは今月10日の財務相理事会で、EU基準に準拠して税制を改正すると確約した国を掲載するグレーリスト外部リンクから、スイスを削除する。
4日明らかになった文書は、昨年のスイスの税制改正はEUの要求水準を満たすと認定し、スイスは約束を果たした、と述べた。改革は2020年に発効する。
アラブ首長国連邦(UAE)やマーシャル諸島は、税務問題に関してEUと協力していない国・地域を掲載するブラックリストから除外される。
ブラックリストには、ベリーズ、フィジー、オマーン、サモア、トリニダード・トバゴ、バヌアツ、米領のサモア、グアム、バージン諸島の9カ国・地域が残ることになる。これらの国・地域はEUとの取引において評価が低くなり、厳しく管理される。
法人税改革
EU28カ国がブラックリスト・グレーリストを作成したのは2017年12月。世界の大企業や富裕層が税率の低い国に資産を置き、租税を回避する実態が大々的に明らかになったのがきっかけだ。リストは定期的に見直される。
EUは17年12月にスイスをグレーリストに掲載した。同年2月の国民投票で法人税改革案が否決されたとき、スイスはブラックリストに加えられるとの懸念が強まった。有権者は、改革案で大企業だけが得をして、中小企業や個人事業主が犠牲になると考えた。
今回、アルバニア、コスタリカ、モーリシャス、セルビアもグレーリストから削除される見込み。ケイマン諸島、トルコ、バハマ、バミューダなど世界中の多数の国・地域が残ることになる。設定された期限までに約束を実現できなかった場合、ブラックリストに移る。
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パナマ文書問題 スイスの弁護士も捜査対象に
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銀行をはじめ弁護士、公証人、ブローカーなどがタックスヘイブン(租税回避地)を利用して税逃れやマネーロンダリングをしている可能性が、先日流出したパナマ文書で指摘されている。スイスの弁護士たちも、タックスヘイブンにあるペーパーカンパニーや闇ビジネスとの関連について弁明を迫られている。
パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したデータによると、同事務所が関わっていたスイス人(弁護士や公証人などの金融仲介者)1233人が、過去40年間でタックスヘイブンにペーパーカンパニーを3万4千社以上設立していた。また、出身国別では香港出身者が最も多くペーパーカンパニーを設立していた(3万7675社)。
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経済協力開発機構(OECD)と主要20カ国・地域(G20)は今月、多国籍企業の税逃れを防ぐ新たなルールを採択した。租税情報を国家間で共有化し、タックスヘイブン(租税回避地)への利益移転を防ぐ。今後、多国籍企業の法人税は親会社の国で課税できるようになる。スイスには新ルールに基づく租税法の整備が求められる。
今回の新ルール導入の発端は、アップル、アマゾン、グーグルの過度な節税策だ。これらの米インターネット企業は、オフショア企業との入り組んだネットワークを利用し、何十億ドルにおよぶ節税策をとってきた。米税務局はこれまで指をくわえて見ていることしかできなかった。
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