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チューリヒの街がテディに占領される

直接触ってその感触を確かめることもできる。チューリヒの繁華街で見られるウィリアム・テルのテディベア Keystone

チューリヒは5月23日、人間よりやや小さめの背丈のクマのグラスファイバー製の置物、テディで占領されてしまった。チューリヒ商店街協会が観光客と市民に楽しんでもらおうと主催した「テディ・サマー2005」は、9月18日まで続く。

街とチューリヒ空港に置かれている630体のテディは、直立のクマ、座ったクマ、子どものクマの3種類。街を飾るクマの多くは、商店や銀行など企業が商店街協会から原型のクマを購入し、アーティストにデザインを依頼したものだが、個人の参加もある。

再びやってきた、チューリヒ商店街協会の夏のアトラクションに子どもたちは大喜び。等身大の動物などにデザインを施して、市内とチューリヒ空港のあらゆる空間に設置し、市民に楽しんでもらうというもの。1986年のライオンを皮切りに、2,3年おきに牛、ベンチなどのオブジェで街が飾られている。
今年は、街を走る路面電車のフロントにもミニチュアのテディが付いているのが新しい。

日本のテディは街の一等地に

 「テディ・サマー2005」に参加するチューリヒ観光局は昨年10月、日本の多摩美術大学の協力を得て、学生からデザインを募集した。集まった120件のデザイン中から選ばれた5人の学生芸術家たちは、今年2月にチューリヒに招待され、チューリヒの美術学校の一角で、それぞれのアイディアを直接テディに施した。

 現在この5体の作品は、スイスの2大銀行の本店があり、チューリヒではもっとも中心といわれるパラーデプラッツ(Paradeplaz)に設置されるという厚待遇を受けている。特に米粒をまぶしておにぎりからイメージしたデザインのクマには、素材の珍しさからか人だかりがあり、中には触ってみる人もいるのか、開催1週間後には一部の米粒が剥落してしまっているのは残念だ。

テディで盛り上がろう

 テディは直接触ったり乗ったりもできることから、子どもたちの格好の遊び相手となっている。海外にも広く宣伝しており「チューリヒには平年より多くの観光客が訪れることを期待している」と語るのは協会会長のロベルト・オーバー氏。 

 大人も楽しめるように、全部のオブジェをリストアップした無料のカタログが12万5000部用意された。ドイツ語と英語が併記されているカタログを片手に、街を散策する人もいることだろう。

 8月20日、21日の両日には、国内外からテディベアの収集家やファンが参加する、第10回国際クマ・フェスティバルがチューリヒで開催される予定だ。

 「わさびさん」「お客様は神様です」「ママ・チョコ熊」などとネーミングされたテディは、アトラクションが終了したら一部はオークションに掛けられる。これには誰でも参加できる。

swissinfo 佐藤夕美(さとうゆうみ)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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