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ヒップホップダンスで優勝を!

スイスのヒップホップダンスグループ「マスタズ」がラスベガスの世界大会に参加。 swissinfo.ch

ヒップホップダンスグループ「マスタズ」のメンバーは、16歳から18歳の男の子3人と女の子4人。みんな、ダンスへの同じ情熱で結ばれている。

「マスタズ ( Mastazz ) 」は2000年にスイスのフリブール市でスタートした。今年、7月29日アメリカのラスベガスで行われるコンクールで3回目の挑戦を果たす。

自由で創造的なダンス

 「ヒップホップダンスは友達の勧めで始めた。誰もが、自分の独創性をダンスに付け加えることができる。みんなに開かれた創作の世界。自分の限界を超えて、さらに挑戦できる。とにかくとてもとても楽しい」
 とダリオ君は言う。

 「4歳から色々なダンスをしてきた。クラシック、モダン、オリエンタルダンスなど。そしてヒップホップダンスに行き着いた。すぐに気に入ってのめり込んだ。特に音楽と動き、自由さが気に入っている。基本のステップは決まっているが、後は自由に踊り、ニュアンスをつけ加えられる」
 と語るのはロレナさん。

 マスタズには、ほかにアナイスさん、サム君、シンディさん、アドリアン君、オレリアさんがいる。このフリブールの高校生たち7人は、通っていたダンススクールで偶然にできたグループのメンバーだった。
 
 グループができるや、ヒップホップダンスを始め、スイスのコンクールにキッズのカテゴリーで参加して優勝した。次いで2007年、2008年には青年期のカテゴリーに進み、また優勝を重ねた。「勝つと、1位の座を保持しようとやる気がますます沸いてきた」とアナイスさんは言う。

 しかしヒップホップダンスは絶えず変化していくもの。そのため新しいバーションを取り込んでいかなくてはならない。
 「世界中のほかのグループに遅れを取りたくなかったら、変わり続けることが不可欠だ」
 とアドリアン君は言う。

みんなに会えるのが楽しみ

 スイスで何度も優勝を飾ったマスタズは、今年7月末にラスベガスで開かれる世界大会に3度目の出場を果たす。

 2007年に初めて参加した日のことを、シンディさんは
 「1000人から1500人のダンサーたちを見たときはびっくりした。それに、参加者全員が、競争相手であろうとなかろうとお構いなしに話しかけてくる雰囲気はとても良かった」
 と話す。

 ダリオ君にとっては、回を重ねるごとに真剣味が増してくる。
 「今年は昨年より、プレッシャーがかかっている。今年こそ、過去2回の経験を生かして、できるだけ上位に進みたい」

 コンクールは決勝戦が終了すると、毎年その後にプロの指導者によるワークシップが開催される。これもまたとない貴重な体験になる。
 「アメリカでのコンクール参加は毎回とても大切な思い出として残る。フェイスブックを利用して、参加者とは写真の交換をしたり、交友を続けている。ダンサー同士の友情は失われない。もうすぐみんなに会えるのが楽しみだ」
 とアドリアン君は言う。

自分たちの力で学校創立

 ところで、マスタズの仲間は、「ヒップホップダンスはアメリカの黒人が始めたゲットーの文化だ」という考えをどう思うのだろうか?

 「ヒップホップダンスに悪い評判があるとしたら、それは少し年を取った人たちが、ブルックリンのギャングたちのダンスだと考えているから。私たちはまったく違う生活スタイルで暮らしている。みんな一軒家に住んでいるし、高校生だし。ヒップホップダンスはスポーツみたいなもの。特に夢をみんなで共有し、実現したいだけ」
 とアナイスさん。
 
 アドリアン君は、
 「もちろん、ヒップホップダンスはクラシックバレエに比べると粗野だ。しかし、男子も女子も一緒に区別なく踊れるところがいい。というのもヒップホップダンスは、ひとつの表現だから」
 と言う。

 普段マスタズは、週に3回練習をする、しかしアメリカの大会が迫る今、毎日練習を続けている。それに加え、スイスでの公演、高校の授業がある。昨年11月に始めたダンススクールでは9月から新しい生徒たちも増える。

 「スイスのコンクールで優勝したお陰で、生徒が集まった。生徒たちにダンスを教えるのは深い喜び。それに、ダンススクールを自分たちの力だけでここまでやってきたというのは、誇りに繋がる」
 とアナイスさんは熱っぽく答える。

 ダンススクールの借用料と1時間25フラン ( 約2250円 ) の教授料をみんなに払うと3000フラン( 約27万円 ) 残る。それがアメリカへの渡航費用の一部になる。
 
「もちろん、両親たちが、ダンサー1人につき1000フラン ( 約9万円) は援助してくれる。アメリカの世界大会はワークショップもあるので、そこで多くのことが学べる。それも今から楽しみ」
とロレナさんは、目を輝かせる。

イザベル・アイシェンベルジェー、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳、里信邦子 ) 

同じダンススクールに通う生徒7人が、2000年にダンスグループ「チーム・スピリット ( Team Spirit ) 」を作る。スイスのヒップホップダンス大会で何度か優勝する。2008年11月に、非利益団体の「マスタズ・ダンス会社 ( Mastazz Dance & Co ) 」になる。

2007年、2008年の「ヒップホップダンス世界大会」の参加した初めてのスイスのグループ。

2009年1月、ダンススクールを開く。すでに46人の生徒を数える。

2009 年7月29日から8月2日まで開催される「2009年ヒップホップダンス世界大会」にスイス代表として参加。

世界30カ国からおよそ1000人から1500人の、トップレベルのダンサーたちが集まる。開催はアメリカのラスベガス で7月29日から8月2日まで開催される。

優勝を競うコンクールと同時に、5日間の間に討論会やダンスのワークショップが開かれる。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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