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フェデラー、ワウリンカとともに悲願のメダル

Keystone

8月16日に行われた北京オリンピック男子ダブルスの決勝で、スタニラス・ワウリンカとロジャー・フェデラーのスイス組はスウェーデン組に6‐3、6‐4、6‐7、6‐3で勝ち、悲願の金メダルを手にした。

スイスがオリンピックでメダルを獲得したのは1992年以来2度目。当時はバルセロナ大会に出場したマルク・ロセがシングルスで優勝し、やはり金メダルを手にしている。

中盤に苦戦

 スイスチームは第4シード。対するスウェーデンチームはノーシードだ。5時間近くに及んだ準決勝でフランスを破っての決勝進出だった。一方、スイスチームも14日木曜日のインド組との準々決勝が途中雨で中止となり、翌日に持ち越されたため、15日には2試合を消化することとなった。

 決勝はフェデラーのサービスで始まった。前日の準決勝とは異なってフェデラーのサーブがよく決まったこともあり、スイスチームは第1セットを比較的簡単に奪った。スウェーデンはファーストサーブがなかなか入らなかったが、セカンドサーブで得点を取ることも多く、第2セットに入ると勝負は互角になった。それでもスイスチームは1ゲームをブレイクし、第2セットも取って2対0と試合をリードした。

 第3セットでは徐々に調子を上げてきたスウェーデンが第2ゲームをいきなりブレイク。しかし、次のゲームでサーブを打ったシモン・アスペリンが3度のダブルフォルトを重ね、スイスはすぐにリブレイクに成功。そのままタイブレイクにもつれ込んだ。ここでもスウェーデンのミニブレイク、スイスのリブレイクと互角の戦いで始まったが、結局スウェーデンが7‐4で第3セットをもぎ取った。

 2対1と追いつかれたスイスチームだが、焦りの色はまったくうかがえない。逆にサーブやストロークがよく決まるようになり、第4ゲームをブレイクすると、そのまま安定したプレーで第4セットも手に入れた。金メダルが決まった瞬間、ワウリンカは昨日の準決勝のあとと同じようにコートに仰向けになり、フェデラーが魔術でもかけるようなしぐさを繰り返す。これは悪霊を取り払おうとしているわけではない。昨日のフェデラーの説明によると、
「僕の体を温められるんじゃないかと思うくらい、スタン ( ワウリンカの愛称 ) が熱くなっていたから。僕はやけどしそうなくらいだった」
 ということだ。

 今日の決勝戦では2人ともリラックスした様子で、試合中にも時どき笑顔が見られた。会場は満席ではなかったが、スイスやスウェーデンの応援団が賑々しく、休憩中にはウェーブも巻き起こった。

 8月16日付のチューリヒの日刊紙「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」によると、準決勝終了後、フェデラーは次のように語っている。
「ジェームス・ブレイクに敗けたのはすごくつらかった。オリンピックが大きな目標だったのは周知の事実。チャンスは今回が一番大きかったのだと思う。でも、4年後にもまた挑戦したい。シングルスで負けたあと、同じ日にダブルスでプレーできたのはよかった。対インド戦が雨で中断されたときに4-1でリードしていたので、気分もよくなった。次の日に向かって前向きになることができた」

 授賞式では、IOCメンバーであるスイス人のルネ・ファセル氏から金メダルを受け取った。ワウリンカと並んで表彰台の上に立ったフェデラーは、スイス国歌に合わせて掲揚される国旗を眺めながら感無量といった表情。最後は涙をこらえきれない様子だった。

swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )

金 スイス
銀 スウェーデン
銅 アメリカ

1回戦 
シモネ・ボレリ&アンドレアス・セッピ ( イタリア )
7‐5、6‐1

2回戦
ドミトリ・トゥルスノフ&ミハイル・ユーズニー ( ロシア )
6‐4、6‐3

準々決勝 
マヘシュ・ブパシ&リアンダー・パエス ( 第7シード、インド )
6‐2、6‐4

準決勝 
ボブ・ブライアン&マイク・ブライアン ( 第1シード、アメリカ )
7‐6 ( 8‐6 ) 、6‐4

決勝 
シモン・アスペリン&トマス・ヨハンソン ( スウェーデン )
6‐3、6‐4、6‐7 ( 4‐7 ) 、6‐3

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