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ベルン警察、逮捕者死亡で中間報告

アマチュア・ビデオが捉えた殴打する警官の姿 swissinfo.ch

3日家庭内暴力で逮捕されたトルコ移民男性(42)が、逮捕時警官から殴られたケガが元で7日死亡した事件で、ベルン警察は11日調査の中間報告を発表した。それによると、男性の死因は逮捕直後の一時的な心臓マヒだが、警官等が過度の暴力を行使したかについては現段階では確認できていないとした。

ベルンのローカル・テレビ局「テレ・ベルン」で8日、アパートのベランダで一群の警察官が一人の男性を取り囲み、繰返し警棒で殴りつけるアマチュア撮影ビデオが放映された。ベルン警察によると、3日アパートの隣人からセマルD(42)が妻と3人の子供をナイフで威していると通報があり、現場に急行した警官等は妻子を救出したが、男はベランダに立てこもり近付く者をナイフで威嚇した。4時間後警官隊が突入し男を取り押さえたが、その際警官の一人は刺された。男も重傷を負いベルン大学付属のインゼル病院に運ばれたが、昏睡続け7日集中治療室で死亡した。

ベルン警察は逮捕時に警官による過度の暴力行使があったかどうかの調査を開始、11日に発表された中間報告によると、セマルDの死因は逮捕時の出来事と思われるが、その際警官等が過度の暴力を行使したかどうか現段階では未確認のため発表できないとした。

テレ・ベルンで放映されたアマチュア・ビデオは、今週スイス全国で放映された。
死亡したセマルDの遺族と武装グループ「augenauf(=目を開けろ)」は移民と難民の団結を呼び掛け街頭デモを繰り広げ、またアムネスティ・インターナショナルは、独立調査委員会を要請している。これに対し、セマルDの検死を行ったウルリッヒ・ツォリンガー・ベルン法医学研究所長は11日、セマルの死因は警官隊の殴打ではない、なぜならセマルの頭蓋骨、脳、内臓は負傷していなかったと証言した。また、ステファン・ホイハウス判事は、身柄を取り押さえられベランダから部屋に引きづり込まれたセマルDは医師から通常量の鎮静剤を注射されたが、これはその時点でセマルDがまだ警官に激しく抵抗していたことを意味すると述べた。ツォリンガー法医学研究所長は、セマルDの死因は、ストレス、鎮静剤、逮捕時に用いられた催涙ガスなど複数の要因が重なったものではないかと見ている。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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