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モサド情報員に執行猶予判決

連邦裁判所は、ベルン郊外で盗聴器を仕掛けようとして逮捕されたイスラエルの情報員に、5年間のスイス入国禁止と12ヵ月の執行猶予を言い渡した。(写真:閉廷後記者団の質問を受けるRalph Zlocozower被告弁護人)

連邦裁判所は、ベルン郊外で盗聴器を仕掛けようとして逮捕されたイスラエルの情報員に、5年間のスイス入国禁止と12ヵ月の執行猶予を言い渡した。(写真:閉廷後記者団の質問を受けるRalph Zlocozower被告弁護人)

連邦裁判所は、諜報活動、外国での違法行為、偽造書類および偽名でのスイス入国の罪で、被告のモサド情報員に、5年間のスイス入国禁止を言い渡した。執行猶予となったため、被告は、直ちにイスラエルに帰国できる。判決の際、ハンス・ウィプルシュティガー判事は、「モサド機関員は、寛容し難い無作法な態度でスイスの主権を侵害した。」とし、無視できない犯罪だと述べた。

1998年2月、イサーク・ベントルの偽名で法廷に出された被告の情報員は、4人の仲間と一緒に、ヒズボラの支援活動家という疑いのあったスイス籍レバノン人の男性のベルン郊外の部屋に盗聴器を仕掛けようとして逮捕された。ベントルは、法廷で罪状を認めた。

判決は、スイス検察当局の懲役15ヵ月間という求刑にくらべ、大変寛大なものだった。刑の軽減について、ベントルの弁護団は、被告はイスラエルに対するテロ攻撃防止のためだけに、盗聴器を仕掛けようとしていたのだと主張した。が、検察はスイス籍レバノン人の男性が、テロリストであるという証拠は何も無いと、弁護側の主張は受け入れられないとしていた。

スイス籍レバノン人男性、アブドラ・エル=ザイン氏は、アル・エル=バイト・センターというイスラム交流センターを運営している。連邦警察は、センターとヒズボラの関係を示す証拠は無いと言う。

今回の裁判は、モサドの情報員がイスラエル国外の法廷で裁かれた最初のケースだ。連邦裁判所は、情報員の本名が明かされては生命に危険が及ぶ可能性があるとして、偽名で裁判を行った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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