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ローザンヌ国際バレエコンクール、決勝に挑む日本人3人

決勝に日本人男子が2人も選ばれるのはめずらしいという。舞台の空間をいっぱいに使ってエレガントな踊りを繰り広げた新井さん ( 写真 : 小川峻毅 ) Shunki Ogawa

2月3日に行われた第35回ローザンヌ国際バレエコンクール準決勝で12人が選ばれ4日の決勝に挑む。そのうち日本人は3人。

決勝に挑む3人は、女子では河野舞衣 ( こうのまい、17歳 ) さん、男子では新井誉久 ( あらいよしひさ、17歳 ) さんと吉山シャルル・ルイ・アンドレ ( よしやま、17歳 ) さん。

 バレエ界の登竜門、第35回ローザンヌ国際バレエコンクールは、昨年に引き続きビデオ審査で選ばれた65人が参加し、1月29日からローザンヌで始まった。65人のうち25人が準決勝に臨んだが、うち日本人が7人を占めるという快挙だった。7人からさらに決勝進出に絞られた3人に喜びの声を聞く。

本当にうれしいです

 女子で選ばれた埼玉県出身の河野舞衣さんは、ローザンヌコンクールは2回目の出場。2年前に出場した時は、外国人がきれいなので圧倒され、自信をすっかり無くしてしまい、十分実力を発揮できなかったという。その後、ミュンヘン州立バレエアカデミーに留学し実力をつけた。今回は雰囲気にもすぐなじみ、思ったように踊れた。その気品のあるしっかりとした踊りに、会場から歓声と共に大きな拍手が沸いた。

 男子で選ばれた山口県出身の新井誉久さんもコンクールには2回目の出場。1年半前からザ・ロイヤル・バレエスクールで学んでいる。クラシックを優雅に踊る実力派。決勝進出者に選ばれ「びっくりしています。本当にうれしいです」と語った。

 もう1人の男子は、吉山シャルル・ルイ・アンドレさん。静岡県出身で、フランスと日本の国籍を持つ。現在はイングリシュ・ナショナル・バレエ・アカデミーで学ぶ。コンテンポラリーの「キリアン・バリエーション」は見事で、終わった瞬間大きな拍手に包まれた。「僕はモダンが好きです」と言う。「今回選ばれて夢のようです。信じられません。同じ学校の女子生徒も選ばれたので2重にうれしいです」と満面の笑顔。

今年の特徴

 今年の特徴は昨年に引き続くアジア勢の快調さであろう。出場者65人中、19人が中国人、韓国人、日本人で、準決勝に進んだ25人も、この3つの国から13人が選ばれた。最終的に決勝進出を果たした12人も、日本人3人、韓国人2人、中国人2人の計7人がアジア人であった。

 記者会見で、アジア人の多さとヨーロッパ人の少なさの理由を問われた審査員の1人は、「優れた者が選ばれただけで、国や民族性はバレエに関係がない。ただヨーロッパ人、特にスイス人の子供はバレエ以外にピアノ、水泳と色々やり過ぎるのが問題です」と答えた。スイスに関しては今月中に対策会議を開くと、ローザンヌコンクール会長、シャルル・ゲブハルド氏は締めくくった。

swissinfo、 ローザンヌにて 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

昨年から、ビデオ予選が10月に行われ、これに33カ国168人が参加。その結果27カ国の65人が選ばれた。日本人11人、韓国人3人、中国人5人、オーストラリア人9人を合わせると計28人がアジア・パシフィック地域出身。
また今年は、南米からの参加者が増えたことも特徴の1つ。ブラジル5人、メキシコ1人、パラグアイ1人の計7人。これは昨年6月に、ローザンヌコンクールの会長シャルル・ゲブハルド氏が南米の国々のバレエ学校を訪問し、参加を訴えた成果だという。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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