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国連加盟反対勢力、反対キャンペーンに結集

3月3日の国民投票に向け反対キャンペーンも激化 swissinfo.ch

スイス政府の悲願・国連加盟をかけた3月3日の国民投票まで2ヵ月を切った。右派人民党を中心とする反対勢力の反国連キャンペーンもパワー全開だ。

国連加盟反対の急先鋒に立つ右派人民党タカ派クリストフ・ブロッハー国民議会議員は7日、ベルンで記者会見を行い、国連に加盟したらスイスは経済制裁など国連の決定に無条件に従わなければならなくなり、中立政策と主権を侵害されると従来の主張を繰返し、国民に反対票を投じるよう呼び掛けた。反対勢力を結集した「スイスの独立と中立のためのキャンペーン」の他のメンバーらも、スイスは国連に加盟していないからこそ、赤十字や国際機関を通して人道援助など多様な援助活動をしやすい立場にあると主張した。

ブロッハー議員は、国連に加盟したらスイスの国連大使や国連職員らはスイス国内法よりも国際法を優先させ、結果としてスイスの直接民主主義を侵害することになるとも主張した。さらに、現在でもスイスは国連に年間約5億スイスフランの資金を拠出しているが、加盟後はさらに7、500万スイスフラン(4、500万ドル)拠出金を増額することになり、経済的にも打撃を受けることになると批判した。

反対勢力は、国連は公平ではなく、深刻な紛争を解決する能力のない反民主的な機関であり、大国の道具に過ぎずスイスなど小国の声は取り上げられないと指摘している。

国連加盟を目指す連邦政府と財界は、国民に加盟支持を呼び掛ける運動を展開している。これに関しても、反対派は、反対キャンペーンにかけた費用は約200万スイスフランで、政府は国民の税金を湯水のように使って加盟支持キャンペーンを展開していると批判している。

前回(1986年)の国民投票では、国連加盟案は3対1の圧倒的多数の反対で否決された。最近の世論調査の結果では、反対・賛成は僅差だが、アナリストらによると都市部(賛成)と農村部(反対)の差が目立つという。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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