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国連特別総会、貧困撲滅の目標達成失敗を認める

5年前コペンハーゲンで開かれた社会開発サミットの評価と再検討をする特別総会が、ジュネーブで始まったが、国連はサミットの目標達成は失敗に終わったことを認めた。

5年前コペンハーゲンで開かれた社会開発サミットの評価と再検討をする特別総会が、ジュネーブで始まったが、国連はサミットの目標達成は失敗に終わったことを認めた。

1995年の社会開発サミットでは、貧困の軽減、雇用促進、社会的な公平の創出などの問題と取り組む事を誓った。その後の進展状況の評価と再検討のための特別総会がジュネーブで開かれている。

統計によると、13億人の人々が1日1ドル以下の生活を強いられており、3人の世界で最も富裕な人々の富は極貧国48ヶ国のGDPの合計を上回り、12億人が飲料水にアクセスできず、先進工業国の100万人は貧困だ。

特別総会は、188ヶ国の代表が出席、アドルフ・オギ・スイス大統領とコフィ・アナン国連事務総長によって開会された。アナン事務総長は、各国に「人類の悲惨さ」との戦いを再度委託し、2015年までに極貧の人々の比率を減らすという目標を越えて活動するよう要請した。かねてからアナン事務総長は、途上国の人々のニーズが考慮されないなら、グローバリゼーションへの過激な反発が起こると警告していた。

国連社会政策部のジョン・ラングモア氏は「各国はコペンハーゲン会議以降の教育、保険、社会保険、雇用政策の改革と向上を報告してきたが、主要な問題は残っている。世界で貧困が減ったわけではない。失業率も高いままだ。問題の深刻さは、5年前と変わっていない。」と言う。

コペンハーゲン以降、世界は変わった。金融危機と紛争のせいだけではない。グローバリゼーションのペースが加速され、時に暴力的ですらある反応が市民社会から起こった。

スイス代表のダニエル・ストウファッシャー氏は「世界貿易のルールは、現段階に相応しくない。各国際機関の役割も再検討されるべきだ。これらの問題に対処する国連の役割は強化されなければならず、グローバリゼーションの悪影響を減らすための新しい規定を設定しなければならない。」と語る。

特別総会では、2015年までに絶対的貧困の人数を減らすなどの、40の議案が承認される見込みだが、これらの原案についての交渉は、微妙なものだ。たとえば、移民、年収と税、援助と負債軽減などの問題がある。民間部門の社会的責任も、解決されていない。山積みの一連の問題の中で、解決にむけて進んでいるのは極わずかだ。

総会開会前の準備作業で、各国の将来の計画と活動において、大きな違いがあることは明白になっている。今後15年間で貧困を約半数に減らすという目標については合意ができているが、どうやって達成するかというコンセンサスはない。

ストウファッシャー氏は「急進的な解決を期待するべきではない。1990年代の大きな足跡は、コペンハーゲン会議だった。初めてこれらの複雑な問題を一同に持ち出し、一連の目標と行動計画を設定した。ジュネーブ2000は第2段階だ。そして、さらに多くのステップが続けられなければならない。」と言う。そしてラングモア氏は「最も大切なのことは、社会開発を国際政治の議題の中心に載せる事だ。」と付け加えた。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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