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国連、スイスの麻薬政策を批判

スイスの連邦麻薬プログラムが国連のレポートで、批判の槍玉に上がった。国連の国際麻薬管理委員会(International Narcotics Control Board - INCB )は、薬物中毒者に特別センターで薬物を配る政策を実行している国は、薬物中毒を助長しており、国際法に違反していると、厳�

スイスの連邦麻薬プログラムが国連のレポートで、批判の槍玉に上がった。国連の国際麻薬管理委員会(International Narcotics Control Board – INCB )は、薬物中毒者に特別センターで薬物を配る政策を実行している国は、薬物中毒を助長しており、国際法に違反していると、厳しく批判した。

スイスは、ドイツ、オランダ、スペインとともに、報告書の中で、特に名指しで批判された。連邦政府は、進んだ考えで麻薬法に対処していると自負していただけに、失望を隠せない。

スイスでは、各州が、既知の中毒者に管理された量のヘロインを配付しいてる。さらに、麻薬注射室を用意し、中毒者に清潔な針も配付している。しかし、国連のパネル・レポートは、どちらの政策も、薬物中毒を増加させるにすぎないと、批判した。

連邦厚生局のパウル・ディエッチ氏は、「スイスの麻薬注射室は、よく管理われている。国連の委員会に麻薬センターを視察するよう招待した時には、誰も来なかった。批判は、事実と全く異なっている。」と、強く反論している。また、スイス政府の政策は、単に薬物問題を路上からどこかへ移して見えなくしようという魂胆だとする、国連の非難も否定、「ヘロイン配付も麻薬注射室も、論争を招く措置ではあろう。が、結果、スイスのHIV検査結果の陽性者は、1986年の3000人から1998年には1000人以下に減少しており、政策は効果を上げているのだ。」と、連邦当局の自信を示した。

スイス政府は、国連の批判で政策を変更することは、なさそうだ。むしろ、国連が各国政府から学ぶケースの方が多いと、ディエッチ氏は言う。「70年代、国連は処方せんに反対していて、80年代半ばには、注射針交換プログラムに反対していた。どちらも今、欧州各国で広く行われている。国連職員は、いつも現実より数年遅れているのだ。」

全関係当局者は、麻薬と戦わなければならないと言う点では、合意している。ただ、どうやって、という手段については、それぞれ異なる意見を持っている。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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