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家畜の口蹄疫ワクチン予防接種をめぐり政府・農協対立

英国からのこの映像が消費者の肉製品不買を加速する Keystone Archive

家畜への口蹄疫予防接種をめぐって、連邦獣医畜産局と農協が対立している。口蹄疫ウィルスのスイス国境越えを懸念する農協が家畜の集団予防接種を希望するのに対し、政府側は物理的に不可能だとはねつけている。

連邦獣医畜産局のクリスチャン・グリオ動物防疫部長は「家畜の集団予防接種などは物理的に不可能だ。全国に少なくとも360万頭もいる家畜全部の予防接種など、非現実的な話だ。」と決めつけた。スイス農協は、現時点では全国での予防接種を要請してはないが、政府は緊急対策を取らなければならないと訴えている。「もしスイス国内で1件でも口蹄疫感染が確認されたら、農協は政府に集団予防接種を求める強力な圧力をかける。」と農協代表の1人マーク・ゼンプさんはswissinfoに語った。

ゼンプさんは、肉製品と乳製品の陸送全面禁止も口蹄疫のスイス侵入予防策として有効だが、スイスには物価の安い隣国フランスやドイツへ出向いて行って肉製品や乳製品を購入してくる人が多いため、政府はこれを禁止するべきだと述べた。また、英国で積み上げられた家畜が焼却される映像がテレビで放映されるたび、スイスの農民達は将来の不安に苛まれるという。消費者の牛肉離れは進む一方で、肉製品の価格は急落している。「英国は農業のイメージを台無しにした。牛肉の消費は減り続けている。大量の家畜が焼却される映像を見た後で牛肉を食べようなんて思う人はいない。」と、ゼンプさんは憤る。

農家も政府も、EUが早急な解決策を打ち出すべきだという点では一致している。「EUは加盟国間の自由家畜貿易を再考しなければならない。英国から垂ォた羊を5万匹もフランスに移し、ギリシャまで欧州各国に移送するなんて給Cの沙汰だ。今まさに我々が直面している危機の元凶はこれだと、私は確信している。」とグリオ部長は語った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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