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嵐を呼ぶ新作「ストップ・エイズ」フィルム

エイズ撲滅キャンペーン用の新作フィルムが、14日発表されるが、過激な内容が騒ぎを呼びそうだ。

エイズ撲滅キャンペーン用の新作フィルムが、14日発表されるが、過激な内容が騒ぎを呼びそうだ。

過去10年間、スイス連邦厚生局のエイズ撲滅キャンペーンは、その性に対するオープンなアプローチで、国際的に有名となっている。トレードマークのピンクのコンドームは、全国でおなじみだが、フィルムとポスターのダイレクトなアプローチは、今までも特定の人々の間では批判の対象となったことがある。最新キャンペーンも、攻撃されるのは必至だ。

新作フィルムは、若者を中心とする人々に、コンドーム使用を訴える目的で製作された。白黒の作品は、ビーチの魅力的な若いカップルにより、デザイナーズブランドのファッションか香水のCMのような雰囲気で始まる。が、エンディングは、見る者を仰天させる。何かをしなければならない時、忘れないようにハンカチを結んでおく習慣を取り(スイスでは、こうするらしい)、ラスト・シーンは何と、結ばれたペニスのアップで終わる。

連邦厚生局のMarkus Allemanエイズ予防課長は「スイスはエイズ撲滅運動の先鋒に立ってきた。WHO(国連世界保健機関)は、スイスの活動に謝意を表明している。このようなダイレクトなアプローチは、どこの国でもできるわけではない。それが可能な我々は、幸運だ。」と語る。

が、スイスですら、過激なストップ・エイズ・キャンペーンは、過去にも問題になっている。2年前の不倫カップルにコンドーム使用を呼び掛けたポスターは、宗教関係者を激怒させ、連邦厚生局は不倫を犯さないよう人々を教え導くべきだと非難された。また、Kama Sutraのイラストに「あなたがコンドームを使用するかぎり、どうしようと我々は気にしない。」と書かれたポスターも、一騒動起こした。

Allemanエイズ予防課長は「この手のキャンペーンは、有効なのだ。実際に人々の意識を高め、コンドーム使用率は上がった。」と自信を持っている。統計によると、10年前スイスのエイズ/HIV発症率は欧州1だった。が、その後急減し、現在厚生局は、国民の間に広がる誤った認識に頭をいためている。「若者の中には、エイズは最早たいした問題ではないと思っている人達がいる。今回のフィルム製作の意図は、彼等にエイズの問題に終は無いと、心に刻みこませようというものだ。」とAlleman氏は述べた。

今週末、全国の映画館で新作フィルムが流される。Alleman氏は、予想される批判の総攻撃に備え、張り詰めている。「非難を全面的に受けるのは、確かにきついが、私の仕事の一環だと認識している。それに、何でも攻撃するのが、スイス人の天性だから。」と覚悟を決めている。

連邦厚生局は、この「結び目」がコンドームの普及に貢献するならば、どんな非難を受けようと価値があると言う。たとえフィルムが万民向けではないとしても、ラスト・シーンが、活発な議論を煽る事は間違いない。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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