スイスの視点を10言語で

原発事故時のための安定ヨウ素剤 その効果とは

スイス政府は原発近郊に暮らす住民に向けて、10年ごとに安定ヨウ素剤を配布している。この錠剤の実際の効果を探った。(SRF/swissinfo.ch)

スイスで現在稼働中の原発は4カ所(計5基)。アールガウ州のベツナウ原発とライプシュタット原発、ソロトゥルン州のゲスゲン原発、ベルン州のミューレベルク原発だ。

原発事故に備え、国立緊急対策センター(NEOC)が原発近郊住民へ安定ヨウ素剤を配布している。

安定ヨウ素剤は食塩に似ており、通常は塩を加えて錠剤を「ヨウ素化」する。

適切なタイミングで適量を服用すれば、甲状腺が放射性ヨウ素を吸収するのを防ぎ、甲状腺がんなどの病気にかかるリスクを減らせる。

安定ヨウ素剤の配布範囲は、以前は原発から20キロ圏内だったが、今年から50キロ圏内に拡大された。

この錠剤で防げるのは放射性ヨウ素のみで、ほかの放射性物質には効き目がない。

放射性物質で特に有害なのは、放射性ヨウ素以外に二つある。

セシウム137は体内に広がり、特に筋肉にダメージを与える。

ストロンチウム90はカルシウムに代わって骨に蓄積されるため、骨腫瘍や白血病を引き起こす原因となる。

原発事故が起きた場合、住民は安定ヨウ素剤を服用し、室内または地下室や核シェルターに避難するよう当局は勧告している。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部