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新ごみ処理法の成功

ごみの分別が進めば地方自治体も収益をあげる。チューリヒのビン回収所 Keystone

ビン処理料の支払が製造者および消費者に課せられるようになり、その収益で地方自治体へ補助金が支払われる。補助金額は1840万スイスフラン(約15億6000万円)となった。

連邦環境庁によると、ビン処理料の収益で地方自治体はのビン処理経費がカバーされるようになるという。

 ヴェトロ・スイス(連邦政府からビン回収を請け負っている民間企業)と連邦交通エネルギ省の環境庁の発表によるとビン処理料の支払いを義務付ける制度は成果が上がったと評価された。新制度は2002年1月から導入され、ビンの回収料金を製造元および消費者に課す制度である。

ごみを出す人が負担

 これまで自治体の税金で賄っていたビンのリサイクリング経費は新法により、製造者および消費者が負担するようになった。すなわち、ごみを出す人が経費を負担することを基本としている。ごみを出す人の責任を問う考え方は、スイスでは企業および市民の抵抗もほとんどなく受け入れられ、環境保護法および連邦憲法にも新たに定めらた。ビンのほかPETボトルやアルミニウム缶などもごみを出す人が責任を持って処理料を払うことになる。

地方自治体の財政に貢献

 2002年におけるビン処理料の収入は2440万フラン(約20億7400万円)となった。このうち8月中旬には、地方自治体および飲料メーカなどビン回収を請け負っている企業などに補助金として支払われる予定である。環境庁によれば、地方自治体が主にビンのリサイクリングを行っており、補助金はこうした自治体のごみ処理経費を軽減するのに役立つことになる。ビン1トンの処理経費は120フラン(約1万円)だが、これが補助金によりカバーされ自治体の負担も軽減される。軽減された分の経費がさらに市民に還元されるかどうかは、地方自治体の判断に任せると環境庁は語っている。ヴェトロ・スイスは地方自治体に支払われた補助金の残り600万(約5億1000万円)フランのうち半分の300万フラン(2億5500万円)を予備金として計上し、残りは事務経費および公共事業費に充てるという。

29万100トンのビンがリサイクリングに

 昨年リサイクリングにまわされたビンは29万100トン。ヴェトロ・スイスは、色別に分別されたガラス1トンにつき82.35フラン(約7000円)、透明ガラスと色つきのガラスが混じっている場合は、再利用が困難なため32.95(約2800円)フランで地方自治体などのビンの回収者へ回収料として支払った。環境庁は当初、色別に分別されたガラスで50フラン、混合では20フランしか支払えないと見込んでいたことから、今回の新制度の導入は成功したと評価している。


スイス国際放送(意訳 佐藤夕美)

2002年以来消費者はビン処理料として0.02スイスフランから0.06フラン(約1.6円から4.8円)を支払う義務が課せられた
ヴェトロ・スイスは民間企業だが、環境庁からビン処理料の徴収を依頼された会社
スイスはビンのリサイクリングでは世界一優秀
スイスでは91%のビンがリサイクルに回される

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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