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暑いスイス 気温もオゾンも上昇中

6月としては50年ぶりの熱波に見舞われているスイス、最高気温35度を記録した地方もある。川や湖に飛び込み夏を満喫している人々もいるが、暑さで救急病院に担ぎ込まれる人も6月にしては多すぎる。気温とともにオゾン濃度も上昇、医師等は外出時の注意を促している。

「この程度の気温はスイスでは異常というほどのことではない。が、通常は7月か8月の真夏に起きるが、今年は早すぎので、人々が適応できないでいる。」と気象学者のフィリップ・ジャネレットさんは言う。ベルン大学病院救急医療局では、暑さのため血液の循環障害で担ぎ込まれる患者が例年に比べてかなり多いという。「血圧や心臓疾患を抱える人は注意しなければならない。また、スポーツ中に重傷ではないがケガをする人も増えている。暑さのために集中力を失うのが一因だろう。」と同病院のハインツ・ツィンマーマン救急医局長は言う。ツィンマーマン救急医局長は、安全に日光を楽しむため「帽子をかぶり、日焼け止め効果の高い日焼け止めクリームをつけ、水分をたっぷり補給し、アルコール類を摂取しないこと。そして、最高気温の出る日中は直射日光を避ける事」と定番のアドバイスをする。

高温時、もう一つ気を付けなければならない重大な事がある。気温が上昇すると高くなる大気中のオゾン濃度だ。ここ数日間のオゾン濃度はスイスの基準120マイクログラム(=100万分の1グラム)/�Gを超えている。オゾン濃度が高くなると呼吸困難、目の痛みなどが起き、喘息や花粉症など呼吸器障害のある人や高齢者、子供などには特に危険な状態になる。が、連邦環境局のペーター・シュトレール氏は、特別に暑い期間だけ車の利用を控えるといったような短期的なオゾン減少対策は効力が無いという。「オゾン濃度が常に120マイクログラムを超えているとすると、新しい長期的な対策が必要だ。高オゾンの最大の要因の一つであるディーゼル車の規制強化は効果的な対策の一つだと考えられる。」とswissinfoに語った。「スイス環境のための医師連盟」のゴイデンツ・シルバーシュミット副委員長も、短期的な対策では問題の根源を解決しないとswissinfoにつぎのように語った。「最初の段階でオゾンの発生を抑止しなければならない。連邦議会はディーゼル油価格引き下げを討議するべきではない。」。専門家らによると、オゾン濃度の現状維持だけでも、車や他の乗り物からの排出を2分の1に減らさなければならない。そして、大気汚染には国境がないので、スイスだけでなく全欧州で実施しなければ効果はないと言う。

紫外線や高濃度オゾンを浴びる危険は、今に始まった話ではない。熱波襲来の度に医師や公衆保健当局は同じ警告を繰返してきた。ツィンマーマン・ベルン大学救急医局長は、「スイスのように雨の多い寒い冬の終った後では、人々は日光の中に飛び出したくなる。楽しむ事だけ考えて健康について考えが及ばないのは、人間として普通のことだ。」と、人間の本性も変わらないと語った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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