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暑くないのに水不足

8月を前に、猛暑でもないのに水位が下がってしまった。 Keystone Archive

フリブール州はこのほど、水不足のため農家が散水することを禁止した。スイス西部の一部では昨年以上の水不足が懸念される。

今年は6月、7月と雨が降ったにもかかわらず、猛暑に見舞われた昨年の影響が残り、一部の湖の水位が昨年以下になっている。

首都ベルンの西にあるフリブール州では昨年の猛暑の影響が残り、今年の夏の水不足が心配されるため、今週から一部の例外を除いて川や湖から給水して畑に水を撒くことを禁止し、水道の水の節約も呼びかけられた。フリブール州から西に寄ったヴォー州の農家も、散水は最小限度に留めるよう、勧告が出された。

西部が特に水不足

  連邦水質地質局のダニエル・シュトライト広報担当官によると「非常に深刻というわけではないが、7月の河川の水量は平年以下で、特にスイス西部は心配である。今後の見通しは難しい」という。

 このところ、一部の地域で豪雨になっても全体的には雨があまり降らないため、水が川を満たすまでにはならないのが理由である。昨年は100年来の猛暑といわれ全国的に水不足だったが、今年の水不足はスイス西部に留まっている。

水不足が発電に影響する

 ダムの水は平年の62%しかなく、73%あった昨年より水位が低い。ヴォー州のダムは特に水が減っている。スイスでは水力発電が国内発電量の半分以上を占めるため、水量が国内のエネルギー生産に大きな影響を与える。

 連邦エネルギー局の発電統計によると、水不足の理由は、昨年の猛暑で雪が解けてしまったことと降雨量が少ないことだという。冬に向けて発電に十分な水が9月までに溜まるかどうかは今のところ予想できないという。

 一方、スイス水力発電水源保護協会のヴァルター・ハウエンシュタイン氏によると、ヴォー州にあるダムの7月の水量は、平年水量の2割しかないのは普通で、8月9月の降雨量が湖の水量を決めるという。ヴォー州の湖の水不足について同氏は「ダムの壁の検査があったため、ダムから水を放出しなければならなかったことと、春に電力の価格が上がってより多くの電気を製造したため水を使ったことも背景にある」と分析する。南部のチチーノ州と東部のグラウビュンデン州ではダムの水量は例年並であり、同氏は大雨が続かなくとも、今年の水量は平均すれば平年並になる」と楽観している。

スイス国際放送および外電 (佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳)

猛暑でもないのに水不足。
平年より6割減。特に西部の河川、ダムが水不足である。
昨年のような深刻な状態ににはならないと予想される。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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