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第7回チューリヒ映画祭開幕

チューリヒで映画祭主催者に迎えられるローレンス・フィッシュバーン。10月2日まで、チューリヒでは合計96本の映画が上映される Keystone

「私はチューリヒ人だ(Ich bin ein Zürcher)」。この象徴的な一言をもって9月22日、第7回チューリヒ映画祭の開幕宣言を行ったのは、若かりしころチューリヒに住んだこともあるというディディエ・ブルカルテール内務相だ。

ブルカルテール内務相は「チューリヒ映画祭は、経済界と文化界が共同で創造的なアイデアを生み出し、相互に利益を得られることを示す好例だ」と続けた。

 しかし、スターゲストはまた別にいた。アメリカの俳優、ローレンス・フィッシュバーンだ。

グリーンカーペット上の有名人

 湖沿いのベルビュー広場(Bellevue Platz)に面して建つコルソー映画館(Corso)の前には、今年も緋色ではなく緑色のじゅうたんが敷かれた。これは主催者の気候保護に賛同する意思を表したもので、昨年導入された。

 木曜日の夜はフィッシュバーンのほか、ドイツの女優コスマ・シヴァ・ハーゲンや、今年競技生活を引退したフィギュアスケートのサラ・マイアーなどがグリーンカーペットの上を歩いた。

 プログラムのオープニングを飾ったのは、アメリカのスリラー映画「マーダーロード(原題Contagion)」。ドイツ語圏では初上映だ。スティーブン・ソダーバーグ監督によるこの映画は、世界中に蔓延する伝染病の恐怖を描いたもの。フィッシュバーンはこの映画に出演しているほか、今回、チューリヒ映画祭「国際劇映画」部門の審査委員長も務める。

ロマン・ポランスキー監督の受賞

 チューリヒ映画祭は10月2日まで続き、10軒の映画館で合計96本の映画が上映される予定だ。授与される賞は七つ。これまでの活動をたたえる意味で授与される「ゴールデン・アイコン(Golden Icon)賞」は今年、アメリカの映画監督でもあり俳優でもあるショーン・ペン氏に贈られる。

 しかし、最も注目される授賞式は9月27日に予定されているものだろう。ロマン・ポランスキー監督に、2年遅れてゴールデン・アイコン賞が手渡されることになっている。

 ポーランドとフランスの国籍を持つポランスキー監督は、同賞を2009年に受け取ることになっていたが、授賞式に出席するためチューリヒ空港に降り立ったところを逮捕された。

 ポランスキー監督は1977年にアメリカで13歳の少女に対する性的暴行の有罪判決を受け、その後ヨーロッパへ逃亡。アメリカは2005年末に同監督の国際手配を強化していた。現在、手配はされておらず、今回逮捕の心配はない。

国際劇映画部門:

「TAKE SHELTER」(アメリカ)

国際ドキュメンタリー映画部門:

「BUCK」(アメリカ)

ドイツ語劇映画部門:

「ATMEN」(オーストリア)

ドイツ語ドキュメンタリー映画部門:

「DARWIN」(スイス)

オーディエンス賞:

「UNTER WASSER ATMEN – DAS ZWEITE LEBEN DES DR. NILS JENT」(スイス)

クリティックスチョイス賞:

「HAPPY, HAPPY」(ノルウェー)

世界各国の前途有望な若手映画監督の作品を多くの人に観てもらうこと、またすでに成功を収めている映画監督と若手監督および観客との交流を図ることを目的としている。

国際コンペ は「国際劇映画」「国際ドキュメンタリー映画」「ドイツ語劇映画」「ドイツ語ドキュメンタリー映画」の4部門に分かれ、それぞれ最優秀者に「ゴールデン・アイ ( Golden Eye ) 賞」が贈られる。

各ゴールデン・アイ賞のほかに、視聴者が選ぶ「オーディエンス賞」、映画雑誌「バラエティ(Variety)」が優れた監督に贈る「バラエティ・ニュータレント賞」、スイスの映画ジャーナリスト協会が選ぶ「クリテッィクスチョイス賞」の合計七つの賞が準備されている。

 
コンペ以外にも著名監督による新作映画を上映。

 
「新世界の眺望(Neue Welt Sicht)部門」では映画が興隆している地域で現在活躍している監督に焦点を当てており、今回の対象はトルコ。  

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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