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難民保護の申請、スイスで減少

スイスの難民施設調理場で食事を準備する難民たち。 Keystone

スイスへの難民希望者の数が減少している。

スイス連邦難民局によると、6月の難民保護の申請数は前年同月比5.6%減で62,505人となった。1990年以来、過去最低を記録。

背景には、難民として認める条件が近年、スイスで厳しくなっていることが挙げられる。このため、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR、本部ジュネーヴ)は、1951年難民条約の締約国であるスイス政府に対し、国際人権法の義務を果たすように、と苦言を呈している。

加速する受け入れ減少

 これに対し、連邦難民局スポークスマンのドミニーク・ボワァラー氏は、難民受け入れの減少はスイスだけでなく、欧州連合(EU)の主要国でもみられ、「ドイツやオランダなどでは難民認定制度を厳しくする見直し法案が成立している」と話す。

 スイスの難民受け入れ減少はさらに加速しそうだ。法務省が入国管理をさらに厳しくする意向を示している他、今年半ばに基本合意したEUとの2国間・地域間協定に難民受け入れに関するダブリン条約があるためだ。

 ダブリン条約では、同条約の加盟国が難民保護の申請を拒否した場合、その申請者に関する情報を他の加盟国も即座に入手できる。加盟国は難民受け入れにかかる時間と人員が大幅に削減できるとしている。

 「他国で拒否された申請者を受け入れたくないという政策を取る場合、スイスがこうした制度に加盟することは非常に重要だ」とボワァラー氏は話す。

 また、連邦難民局の発表によると、1−6月期に帰国した難民の数は、難民保護の申請数を上回っており、国内の難民登録数も減少していることがわかった。ボワァラー氏は「各国との送還合意が実を結んでいるため」と説明している。


 スイス国際放送、外電    安達聡子(あだちさとこ)意訳

スイス連邦難民局によると、6月の難民保護の申請数は前年同月比5.6%減で62,505人。1990年以来過去最低。

このうち、セルビア・モンテネグロからの申請数が172人とトップとなった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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