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高いハードル 女性のキャリアアップ

女性がキャリアをつむためにはすでにキャリアのある女性の援助が不可欠。 Keystone

スイス雇用者協会は企業に働く女性のキャリアアップをサポートするキャンペーンを開始する。女性が働きやすい環境を作り、人材を活用するのは国民経済上からも効率がよいとの判断がある。                                       

記者会見では管理職に就く女性のキャリアのつみ方のコツも紹介された。日本の女性にも参考になるアドバイスを紹介する。                                        

スイス雇用者協会は企業に働く女性のキャリアアップを積極的にサポートすることにした。記者会見を開き、この問題への取り組み姿勢をアピール。ルドルフ・シュテンプリ理事長は、組織の中で管理職の上部にゆくほど女性の占める割合が低いことを特に問題視している。女性が活用されていないのは不経済であると判断した同協会は、女性援助団体などと協力し、男女雇用の格差を是正することにした。

情報格差

 スイス雇用者協会が発表した女性と仕事に関する調査は、女性が働くためにハードルとなる項目を社会の中からと個人生活の中から挙げ分析し、いかにして女性がこれを克服するかの対策が提示されている。

 女性は、仕事に就いたその日から、自己主張をはっきりして、仕事には自信を持っていることをアピールすることが肝心という。また、仕事上の希望もはっきりということ。就職前から、女性特有の仕事に限らないで自分の可能性を捜すこともポイントだ。女性の優しさや控えめな態度はキャリアには敵ということらしい。

 女性の昇進には男性より時間が掛かる原因は、ネットワークがなく、非公式な情報をゲットしたり、企業秘密を知らないでいることが多い。男性は常にこうした情報を手に入れることが重要だと知っており、手に入れた情報を仕事に利用している。男女格差は情報格差でもあるという。

 もちろん、女性ひとりががんばっても解決できない面があり、社会的にも政治的にもサポートが必要である。

たとえば大学

 昨年末には司法相のルーツ・メツナー氏が閣僚選出選挙で不信任になり、女性は外相1人となったのが良い例で、スイスでは女性がキャリアの頂点に達することは難しく、トップとなってもその地位を維持することは至難の業と見られている。

 大学も女性が少ない。講師以上の女性の占める割合は19%。女性の教授は7%で、ヨーロッパで最低。連邦政府は2006年までに女性の占める割合を倍増する目標を掲げ、女性の昇進を助成するためおよそ4億円の予算を設けた。

 大学により援助方法はさまざま。多くの大学が教員数を増やすことで女性の可能性を向上させようとしている。新しい試みとしては女学生が情報交換できる場を設けたり、数学、情報学、物理、化学を学ぶ学生に資金的援助をする大学も出てきた。

 2006年に女性の教授の割合を14%にする目標は達成できそうだといまのところ分析されている。しかし、予算は限られており、女性の教授職を増やせば、教授への窓口となる講師のポストは全体的に減少し、男性も女性も競争が激しくなることは火を見るよりも明らかである。

スイス国際放送 ジャンミシェル・ベルトゥ (佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳)

大学助教授の占める割合7%

工業学部、建築学科 女学生の割合8%

人文学科、芸術関連学科 同上 30%

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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