スイスの視点を10言語で

鳥インフルエンザに備えるスイス

鳥インフルエンザの感染はどこまで広まるのだろうか? Keystone

スイス政府は高原病性鳥インフルエンザが人間へ感染する新型ウイルスに変異したときに備え、抗インフルエンザ薬の備蓄を国内の製薬会社に要請するなどの対応措置をとっている。

さらに、スイスの空港ではアジアの感染地域からの家禽製品を持ち込まないように求めるポスターも張り出した。

備蓄対策

 この対策は世界保健機関(WHO)の勧告を受けたもので、現在あるストックに加え、4月1日から新たな抗インフルエンザ薬のリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)の備蓄をバーゼルにある製薬会社で行う予定。スイスで新型インフルエンザが流行した場合に医療関係者や老人など50万人の治療が可能になる。

 なお、連邦獣医局は2週間前から感染地からの家禽類の卵、羽や肉の輸入禁止を発表した。

感染者受け入れ準備

 政府はさらに、鳥インフルエンザ感染者が国内に入国したときに備えてチューリッヒ空港などで感染患者や搭乗機を隔離する方針などを打ち出している。2000年に出された世界流行プランでは、このような事態が発生した場合、なるべく早くワクチンを製造するよう促している。現在、世界各地で鳥インフルエンザワクチンの製造が急がれているが、スイスでは感染症ワクチンで有名な製薬会社ベルナ・ビオテック社が請け負っている。ベルナ・ビオテック社のロバート・ミシュラー氏は「緊急事態になったら他の薬品の製造を中止して、製造プロセスを加速することができる」と語っている。 

 WHOは2月上旬、インフルエンザ治療薬のタミフル(商品名、スイス製薬会社ロッシュが製造)が鳥インフルエンザ患者の症状悪化を防ぎ、予防効果もあるとして感染地の住民に供与する必要性を訴えた。日本の厚生省もタミフルの備蓄を都道府県に指示している。 

鳥インフルエンザ最新報告

 19日現在、鳥インフルエンザの人への感染による死者はベトナムとタイで合計22人。WHOの広報官は19日、バンコクで「鳥インフルエンザの感染は今までにないスピードで広まっており、緊急事態で対処している」と警鐘を鳴らしている。


スイス国際放送、 屋山明乃(ややまあけの)

- スイス政府は高病原性鳥インフルエンザの人間への感染に備え、抗インフルエンザ薬の備蓄を要請する一方、アジアからの家禽類持ち帰り禁止を求めるポスターを張り出すなど様々な対応措置を始めた。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部