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鳩山首相辞任 スイスのプレスレビュー

鳩山首相の辞任は号外で報道された。大阪の路上でニュースを読む有権者 Reuters

就任からわずか9カ月。鳩山由紀夫首相の辞意表明はスイスのマスコミでもいち早く取り上げられた。その理由を各社は「支持率低下と党内の退陣を求める声が高まったため」と報じた。

チューリヒの日刊新聞「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング ( Neue Zürcher Zeitung/NZZ ) 」の電子版「NZZオンライン ( NZZ Online ) 」は「公約を守れず」と総括。

次は菅連立政権?

 「鳩山首相にとって特に打撃となったのは、本来なら民主党が慣習を打ち破るべきだった献金がスキャンダルになったことだった。そのほかにも不祥事が相次ぎ、鳩山内閣は公約したことを守っていないという印象を抱かせた」
 と論じる。

 同じくチューリヒの日刊新聞「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」はウェブサイトで、「過去4年間に辞任した4人目の総理」が辞職に追い込まれるまでの経緯を簡単に説明し
「沖縄の米軍基地移設問題で方向転換を行った後、有権者の支持をさらに失った」
 と締めくくった。

 国営ラジオドイツ語放送DRSの今朝のニュースでも首相辞任について報道し、東京の特派員マルティン・フリッツ氏が次期首相について
「最有力候補は菅直人副総理兼財務相」
 と予想し、その理由を
「鳩山首相より物事をやり抜く力があり、政治感覚も優れていると見なされている。個人的なスキャンダルで失脚してはいるが、献金スキャンダルには巻き込まれておらず、カネには清潔だとされている」
 と述べた。6月に行われる参議院選挙の結果については
「国民は民主党が公約を守れず、期待した根本的な変化がなくて落胆している。国が抱える借金も逆に増え、不安を感じている。だが、自民党もやつれ果てて見る影もない。おそらく連立政権になるだろう」
 と予想している。

 また、フランス語圏の主流日刊紙「ル・タン ( Le Temps ) 」の電子版は、次のように伝えた。
「日本のメディアによれば、菅副総理兼財務相が最も有力な次期総理候補で、恐らく金曜日に決定される。一方で、岡田克也外相や前原誠司国土交通相を有力と見る声もある」

 「現政権は『日本を変える。国民のための政治。日米関係の再検討と均衡化』などを旗印に掲げ、野心をもってスタートを切った。しかし、スタート当初70%の支持率があった総理だが、その政治に対する方向転換 、変貌ぶりと決定力のなさにより、支持率を急激に失った」

小山千早 ( こやま ちはや ) 、swissinfo.ch

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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