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いばらの道をたどったスイスの国連加盟

ティチーノ州のミニチュア博物館「スイスミニアチュール」では、スイスの国連加盟20周年を記念し、パレ・デ・ナシオンの模型の落成式が行われた。
10日、スイスの国連加盟20周年を記念し、ティチーノ州のミニチュア博物館「スイスミニアチュール」でパレ・デ・ナシオンの模型の落成式が行われた。スイスのイグナツィオ・カシス大統領(右)とジュネーブ国連事務局長のタチアナ・ヴァロヴァヤ(左)が出席した Keystone / Samuel Golay

スイスは半世紀にわたる議論の末、2002年9月10日に国際連盟に加盟した。今日、国連加盟20周年という節目を迎えたスイスは、2023年から2年間、国連安全保障理事会の非常任理事国となる。

スイスのイグナツィオ・カシス大統領は10日、国連加盟20周年を記念する式典でスイスの非常任理事国入りに関し、「最大のタスクはまだこれからだ」と述べた。「戦争の惨劇から次世代を救うという国連の存在意義に即して、我々は全力を尽くす」

記念式典はスイス南部のティチーノ州で開催され、国連のパレ・デ・ナシオンのミニチュア模型の落成式が行われた。

国内での反感

190番目に加盟したスイスにとって、国連への加盟は簡単なことではなかった。国内の加盟反対派はスイスの中立性が損なわれると主張。一方、賛成派は、スイスが国際舞台で発言権を持つことができ、国連に加盟しても、1815年に獲得した中立の地位を維持できると主張した。スイスの国連への主要な貢献である平和の調停や人道的支援は、スイスの中立性を脅かすものではないとした。

2002年、激しい議論と国民投票の結果、54.6%の賛成多数でスイスはようやく加盟することができた。州票は賛成12票、反対11票だった。

国連への加盟により、人口約800万人の小国スイスは、気候変動や健康問題など、世界的な課題に関する主要な国際的決定に影響を与えることができるようになった。

安保理の非常任理事国入り

20年後の今年6月、スイスは安全保障理事会の非常任理事国に選出されたが、その際にも国内で意見に対立があった。スイスの下院の3分の1は、非常任理事国への立候補を支持しなかった。賛成派は、中立は国際的な武力紛争の場合にのみ適用され、安保理は交戦国ではない、と主張した。

6月9日に行われた国連総会の選挙では、国連加盟国193カ国のうち187カ国が、スイスが2023~24年に安保理の非常任理事国になることに賛成票を投じた。投票では反対した国はなかった。

カシス大統領は選挙に先立ち、今後2年間スイスの優先事項は「持続可能な平和、気候変動、安全保障、市民の保護」であると説明していた。また気候安全保障というテーマがより強固なものとなるよう、安保理での意思決定プロセスでキャンペーンを展開する予定だという。

スイスは安保理への立候補とその任務のために、2450万フラン(約36億円)を投じている。2021年、スイスは国連の通常予算に1億167万フランを拠出し18番目に分担金の多い国となっている。

編集:Virginie Mangin

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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