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もぐもぐスイス味 その5 — モモヨ隊員とレーシュティ —

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ユネスコ世界遺産に指定されたベルンの旧市街地。時計塔の門をくぐり抜けた穀物倉庫広場 ( Kornhausplatz ) にあるのが、レストラン・アンカー ( Anker ) 。20種類のレーシュティが自慢。

インターネットのサイトはドイツ語、英語、日本語など5カ国語で紹介があり、一見観光客専用とも思われたが、山国スイスにもいる遠洋船乗務員グループやサッカーファンのたまり場でもあった。

 レーシュティはスイスの伝統料理だが、ドイツ語圏の食べ物。ポテトグラタンはフランス語圏で食べるという定説がある。よって、政治上、2つの言語圏の意見がはっきり分かれると「レーシュティの溝」があると表現されるようになったのは、20年前、欧州経済共同体への参加が国民投票で否決されて以来のこと。今日はモモヨ隊員とレーシュティを食べに、ベルンに来た。

レーシュティのバリエーションを楽しむ

 レーシュティはジャガイモを目の粗いおろし金でおろし、塩とコショウを入れ油で焼くのが基本。チーズやベーコンを加えメインディシュとして食べるか、肉料理の添え物とするかは自由。

 レストラン・アンカーでは、豚肉にトマトの薄切りとゴルゴンツォーラチーズを載せて焼いたものや、ソーセージとベーコンを載せたレーシュティなどが、柄の長い黒鉄のフライパンに「どんぶり風」に出される。

 日曜日の早めの夕方には、年配の男性たちが、ぽつんとテーブルに腰を掛け、タバコを片手にビールを飲んでいる。天井にサイン入りのサッカーボール、壁にはチームのエンブレムが織り込まれたマフラーが額に入って吊るされている。地元のスポーツファンが集まり、テレビでゲームを観戦しながら食事し飲み物を飲む、スイス独特のお食事処の雰囲気。食事をせずに、飲み物だけでも歓迎してくれるスイスドイツ語で正しくは「バイツ (Beiz)」だ。

 注文したのはハムと目玉焼きにチーズの「ウェインツァー ( Winzer ) 」と、野菜レーシュティの1皿ずつ。シェフによると、ジャガイモは茹でたものを使い、大きなフライパンで焼いた後、1人分ずつ小分けにする。油っぽくなくクリスピー。多少濃い目の味。20種類の中から気に入りそうなものを、ゆっくり選んで食べることをお勧めする。

・・・でモモヨ隊員は

 「隊長、常連さんばっかですよ。怪しいすよ、我々間違って・・ません?」
「…。表の看板は随分観光客向けだったけど」

 そう、ココはスイスによくある見た目、観光客用レストラン。でもホントは、ディープに地元な人々のたまり場っていうやつだったのだ。
オヤジな彼、中年なお姐さんたちなんだかとっても演歌な雰囲気醸し出してる。あ、あれはサブちゃん、あのお姐さんはアケミさん ( 誰? ) 。

 待つことしばし。フライパンに入ったレーシュティ愛らしく登場。ちゃあんとスイスの旗も立ってる。うれしいぢゃないの。
モモヨ隊員の分は半熟仕上げのハムチーズエッグのっけ。

 では、頂きます。
 あら、 よそとちがってカリッとしてる。食感がいいわぁ。今度は半熟玉子をからめてっと。スイスで半熟に出会うとはなァ。カリカリレーシュティと半熟玉子の晩ご飯、おうちでも喜こばれるかも。

 ああ、しかし、塩味ね、強いです。スイスの外食では避けて通れない宿命なのかしらん。主観塩度5

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) & モモヨ

レストラン・アンカー・ベルン ( Restaurant Anker Bern )
住所 :  Kornhausplatz 16 3011 Bern
電話 :  +41 31 311 11 13 ファクス +41 31 311 11 71
予約 :  観光シーズンであれば、予約したほうが確実 オンラインでも可能。
時間 : 月〜木曜 7時半〜23時半。金・土曜 7時半〜0時半。日曜9時半〜18時。レーシュティは月〜土曜 11〜22時、日曜 11〜16時。

メニュー :  レーシュティ・アツーロ ( 豚肉、トマトの薄切り、ゴルゴンツォーラチーズを載せて焼いたもの ) 20フラン ( 約1900円 ) 、ベルンの時計塔レーシュティ ( ソーセージとベーコンと目玉焼きを載せたもの ) 16.50フラン ( 約1600円 ) など。
予算 : 2人で ハムと目玉焼きにとろけるチーズを載せた「ウェインツァー ( Wintzer ) と野菜レーシュティの1皿ずつ。ミネラルウォーター2本、紅茶2杯で50フラン ( 約4800円 ) 。
行き方 : ベルンの連邦鉄道駅から徒歩で5分。駅前広場から路面電車が通るSpitalgasse、Marktgasseを直進。ベルンの時計塔をくぐった広場の左側。

ジャガイモを特別目の粗いおろし金のような道具を使って千切りのようにする。塩コショウを入れて混ぜ、お好み焼きのように丸くまとめて焼く。生のジャガイモの場合は食用油で焼き、1晩ねかせた茹でたジャガイモの場合は、バターを使いさらに水を大匙3杯入れる。メインディッシュとして食べる場合、チーズとベーコンを入れてエンメンタール風、タマネギの薄切りを炒めハムの細切りを入れるとティチーノ風などとなる。ウーリ風は、チーズを入れ、最後にコーヒーを1杯かけて火を止める。( レストラン・アンカーのホームページより )

1 普通
2 濃い味好み
3 血圧注意
4 チャレンジャー
5 死海風

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