スイスの視点を10言語で

わたしが選ぶレストラン

Keystone

スイスのビジネスマンがインターネットでのレストランガイドを立ち上げた。目的は、グルメたちが自分のお勧めレストランについての評価や意見を交換することだ。

このサイト「アイテイスト・コム ( iTaste. com ) 」では現在、スイスの2都市ジュネーブ、ローザンヌと外国の2都市パリ、ブリュッセルのレストランが紹介されている。

ミシュランガイドとフェイスブックの間

 10月中旬に「ミシュランガイド京都・大阪2010」版がついに刊行されたが、アイテイスト・コムが目指すのは、「ミシュランガイドとフェイスブックの間を行くようなもの」だと、サイトの最高経営責任者 ( CEO ) ポール・ド・ラ・ロシュフーコー氏は語る。

 グルメな友だちが熱心に勧めるレストランの評価を読むと、つい新しい味を試しにそこに行ってみたくなる。これが同サイトの第1の狙いだ。さらにフェイスブックのようにサイトに登録した人は、その後自分の評価も書き加え参加することができる。

 また、上記の4都市でレストランを探している場合などには、スイス人、フランス人、ベルギー人が選んだトップ10、女性または男性が選んだトップ10、おばあさんと行くレストランのトップ10など、自分に合うグループ別の選択が載っていることも特徴だ。

 「自分と同じ好みの友だちの勧めに従うことほど重要な選択方法はない。アイテイスト・コムはまさにそれを行おうとしている。さらに、複数のお客が意見を交換し合うこうしたサイトは、レストランやホテルの質の向上にも繋がることは間違いない」
 とド・ラ・ロシュフーコー氏は考える。

お客の詳細なデータベース

 第2の狙いは、まさにこのレストラン経営者へのお客からの直接の情報提供だ。しかも、コメントや意見を書き込むお客が誰かということが判明しているので、厳しい意見に関してはレストラン経営者が相手に連絡を取り、詫びを述べると同時に意見の詳細を聞いたりもできる。

 アイテイスト・コムは自社の独立性を守るために広告を掲載せず、従って財源はあくまで、レストラン経営者に対する情報のサービス提供費用から出ている。
「レストラン経営者はアイテイスト・コムに登録することで、レストランの改善方法や見直しについての詳細な情報をお客から得ることができる」
 と、ド・ラ・ロシュフーコー氏は話す。

 「実際、レストランの経営者は自分のところに来る客の名前さえ知らないことが多い」今日の状況の中で、アイテイスト・コムが提供するお客の詳細なデータベースは貴重だという。

知られていないレストラン紹介

 「過去数十年間でレストラン業界は目覚ましい変化を遂げた」と語るのは、数冊の本を出版するレストラン評論の草分け、ルイジ・ボシア氏だ。「50年前までは新しくレストランを始めるのと美容院開業に何の違いもなかった」上に、料理の質や客に対するサービスへの関心もなければ、必要な専門性を身に付けた評論家も存在しなかった。

 スイスに変化が訪れたのは、隣のイタリアやフランスにレストラン評論家が登場してからだ。
 「ようやく人々は専門家の意見を評価し始めたときだった。プロのレストラン評論家はこうして誕生した」

 アイテイスト・コムに関してボシア氏は、
「従来の方法では、高い評価のレストランが同じような評価基準を持つ有名なガイドブックにも載るのは当然のことだ。しかし、アイテイスト・コムのような広いインターネットのコミュニティを持つサイトは、試してみる価値のあるレストランやまだ知られていない新しいレストランを紹介できるのではないだろうか」
と言う。

 ただ、こうした誰もが参加できるサイトの危険性は、いかにも客観的な評価を下す振りをした「偽造評価者」たちによる嘘の宣伝だ。
「だが、最終的には料理の質が物を言う。客を失望させるレストランはやがてその正体を現す。経営者もそのことは十分に知っているはずだ」
 とボシア氏は話す。

アンドレア・クレメンティ
( 英語からの翻訳、里信邦子 )

ジュネーブ、ローザンヌ、パリ、ブリュッセルのレストランについての情報を掲載しているサイト。
近い内にサイトの規模を拡大する予定
アイテイスト・コムはアイホーン( iPhone )からの特別なアクセスを行っている。また、将来フェイスブックから同サイトへのアクセスが簡単にできるような企画を考えている。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部