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アルプス氷河の消滅続く

ゴルナー氷河は1日にほぼ1メートルの速さで後退を続けている

(Keystone)

2007年から2008年の間で、スイスにある88の氷河のうち82が後退した。

2007年の冬は記録的な降雪量があったが、夏には気温が異常に上昇した。「2007年冬から2008年冬の期間でも氷河の後退は明白な事実として証明された」とチューリヒ連邦工科大学 のアンドレアス・バウダー教授は結論した。例えばツェルマット近辺のゴルナー氷河は、290メートルも後退したという。

長さの後退

 氷河の縮小を測定するには、長さの後退と量のバランスの2種類がある。量のバランスとは、氷河上に積もった降雪量と溶解した氷の量の差を指す。

 「この近年量のバランスの変動を研究しているが、過去10年さほど大きな変化はない。一方、長さの後退の方は、氷河の変化を中、長期的な期間で測定するために用いられるものだ。もちろんこれは氷河の規模やほかの要素に随分影響を受けるが」
 と、バウダー氏は説明する。

 長さでは、この2007年冬から2008年冬の期間で例外的に2つの氷河が長くなったのを除くと、ほとんどが25メートル近く後退し、ツェルマット近辺のゴルナー氷河 ( Gorner gletscher ) に至っては290メートルも後退したという。
 「ゴルナー氷河の突出部は、何年にも渡って岩と岩の間の日陰になった狭い場所
にあり、安定していた。ところが氷河の後部が溶け出して穴を作り、この岩陰の突出部も溶け出した」

気温の上昇はグローバルな問題

 もう1つの研究機関「スイス自然科学アカデミー ( SCNAT ) 」によれば、2007年の冬と2008年の冬の間に氷河が溶けた主な原因は、2007年の冬の降雪量は多かったにもかかわらず、2008年の5月、6月の気温が異常に高く、そのため氷河上に積もった雪が早く溶け、氷河がその後の夏の暑い日ざしに直接さらされたためだという。

 バウダー氏はさらに地球の温暖化と氷河の縮小には直接の関係があると言い切る。
「もちろん個々の氷河の生成の歴史や特徴によって、溶けていくダイナミックな動きには差があるが、温暖化がこの動きを引き起こしていることは確かだ」
 と語る。
 
 グレンツ氷河 ( Grenz gletscher ) とゴルナー氷河の地下20メートルで1982年来続けられている温度測定によれば、1982年から2000年までの18年間では、0.5度しか温度が上昇しなかったのに対し、2000年から2008年の8年間では1.2度上昇した。

 スイスの氷河の消滅を嘆くのは、観光客だけではない。
「氷河の存在は水理学的な水のサイクルにおいても重要だが、水の貯水という観点からも非常に大切だ。氷河はいわば貯水庫でそこから、暑く乾いた夏に水が流れ出すということは、スイスの貯水量を減らしているようなものだ」
 とバウダー氏は警告する。またスイスの氷河は、この国の全発電量の5割を占める水力発電のための貯水庫の役も果たしている。

 アルプス氷河の消滅を防ぐことは、素晴らしいチャレンジにちがいない。しかし、
「問題は、氷河の消滅を引き起こす直接の原因は気温の上昇だということは明らかだ。では気温の上昇を食い止めるにはどうしたらいいのか。これは、グローバルな問題なのだ」
 とバウダー氏は結論する。

swissinfo、トマス・スティーブンス 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳

スイスの氷河

氷河は雪、氷、砂礫から生成されている。氷河自体の重さによって、下方と外部方向に広がっていく。

スイスの氷河は、この国の全発電量の5割を占める水力発電のための貯水庫の役も果たしている。また観光面でも重要な役を果たす。

スイスの氷河は1985年から2000年の間に、その表面積の18%を失った。アルプス全域の平均の消失率は22% 。スイスの氷河は高い標高に位置する場合が多いため、より緩やかな速度で消滅している。

チューリヒ大学の研究によると、小型の氷河の方が溶解する速度は速いという。スイスの全氷河面積の18%を占めていた小型氷河は、そのおよそ半分が失われた。

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