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コンピュータ工場の労働条件

コンピュータの多くは中国で生産されている Keystone

スイスにあるキリスト教系の2つの人道援助団体はこのほど、コンピュータのアジア工場における労働条件の向上にメーカーの努力が見られないと指摘した。

このコンテンツは 2008/05/29 15:25

すでに1年前から、大手コンピュータメーカーに向け公正な労働条件を訴え、1台につき約5000円上乗せすることで、労働者の生活が大きく向上し、メーカーの社会的責任も果たせると主張している。

権利を知らない労働者

コンピュータ業界の労働条件の向上を訴えている団体は「ファステンオプファー ( Fastenopfer ) 」と「パンをすべての人に ( Brot für alle/BFA )」。対象となったのは、中国、タイ、フィリピンに生産工場を持つスイスでは最も販売台数の多い「デル ( Dell ) 」、「ヒューレット・パッカード ( Hewlett-Packerd ) 」、「エイサー ( Acer )」 、「アップル ( Appel )」 、富士通シーメンスなどに部品を調達している27の下請け会社だ。

これらの職場は、安い賃金、長時間労働、健康問題などのほか、その他多くの問題を抱えていると指摘されたが、1年前と状況はほとんど変わっていない。例えば中国の工場の労働者は、自分たちの権利を十分知ることもなく1日10時間以上働き、有害物質からの保護対策も不十分だという。
「ほとんどの労働者が、毒物の扱い方など健康管理についての教育がなされていません。また工場の換気も不十分です」
と「パンをすべての人に」のシャンタル・パイヤー氏は指摘する。

調査対象となった中国の7社では、労働契約書のコピーを持っている労働者は少数にとどまったという。これは、中国の労働法にも違反する。
「労働契約書には例えば事故保険や出産休暇など、労働条件が明記されています」
とパイヤー氏。またこれらの会社の1社たりとも、会社の指導要綱を労働者に伝えていないという。

向上した点

向上した点として挙げられるのは、対象となった会社のうち、いまだに最低労働賃金に満たない給料を支払っている会社が2社に減ったことだ。パイヤー氏によると
「大手メーカーの社会的責任意識が高くなったからだろう。しかし、労働者が見つかりにくくなっていることも背景としてあるはず。地方の当局が、労働力の流出を懸念し、最低賃金の厳守に力を入れているからでもある」
という。

大手メーカーは、その下請け会社が労働者を公正に雇っていないという人道団体の批判の矢面に立たされ、昨年には社会的責任を果たすよう、また経営の透明化を行うよう要求された。生産に関わる要素としての労働を下請け会社への指導要綱として組み入れたアメリカのヒューレット・パッカードは大きく進歩したと評価されている。
「ヒューレット・パッカードは非政府団体 ( NGO ) と協力し、指導要綱の研究をしています」
とパイヤー氏は同社を評価する理由を挙げた。

一方、相変わらず評価が低かったのは富士通シーメンス。同社の指導要綱は企業の責任を「国連グローバル・コンパクト ( United Nations Global Compact ) 」に準拠する。しかし、その国連の規定も労働者にとっては不十分と非難されているものだからだ。富士通シーメンスによると、下請け会社には無作為抽出検査をしているというが、下請け会社の名前は公開しない方針だという。

企業の社会的責任

「コンピュータメーカーは下請け会社と協力し、労働者が自分の権利について知ることができるように、指導要綱をできる限り守るようになって欲しい。メーカーが下請けに納期の短い発注をし、支払い価格を引き下げ、競争を掻立てる。そのために下請けは、指導要綱を守ることは難しくなっている」
とパイヤー氏は指摘する。

「最低労働賃金のスタンダードにまで賃金が上がり、平常な労働時間が確保される」とファステンオプファーのアントニオ・ハウトル氏も言うように、末端価格をコンピュータ1台につき50フラン ( 約5000円 ) 引き上げる、労働者に還元すれば、かれらの生活は容認できるレベルまで向上する。個人や注文台数の多い大型の消費者もこうした点でメーカーにプレッシャーを掛けることは可能だ。ジュネーブ市はヨーロッパの行政機関として初めて、コンピュータ発注の入札には社会的責任についての要求項目を掲げ、入札を希望する企業には、該当する書類への記入を要求している。

swissinfo、スコット・カッパー 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

ファステンオプファー ( Fastenopfer )

スイスのカトリック系の人道援助団体。困っている人が自律するように援助することを目的としている。活動経験から、1つのプロジェクトはそれを取り巻く社会の支持があってこそ持続すると認識している。情報発信活動は、途上国に住む人々の生活条件に目を向けてもらうことが目的だ。寄付で運営されているが、2007年の寄付額は約1600万フラン ( 約16億円 ) あった。

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パンをすべての人に ( Brot für alle/BFA )

スイスのプロテスタント系の人道援助団体。世界中に400のプロジェクトを展開している。イースター前の6週間、寄付を募り情報発信活動を行っている。経済界、政界、社会における環境の向上を目指し、開発援助プロジェクトを推し進める。途上国の住民の生活を尊重し持続的開発を進めることをモットーとする。

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