スイスの視点を10言語で

スイスの挑戦艇アリンギがヨットアメリカズ杯の銀杯を奪取

クーツ艇長(左)とナビゲーターを務めたオーナーのベルタレッリ氏。  Keystone

ヨットレースの最高峰、第31回アメリカズカップ(ア杯)で2日、挑戦艇アレンギチャレンジ(スイス)が152年ぶり、大会史上初めて欧州にカップを持ち帰る。

9戦5戦勝方式で開幕から防衛艇のチーム・ニュージーランド(ニュージーランド)に5連勝し、堂々とアメリカズカップを獲得。艇長のラッセル・クーツ(ニュージーランド人)は艇長としてア杯通算勝利数は最多で14になる。

喜びの声

 ジュネーブのレマン湖ほとりのヨットクラブでは600人もが集まり観戦。勝利を受けてスイスのクシュパン大統領はオーナーでナビゲーターも勤めた富豪(スイス長者番付2位)、エルネスト・ベルタレッリ氏にお祝いの電話を入れた。同大統領は「海のない山登りが伝統の国がヨット競技で勝つことができたというのは、スイスという国が人々を驚かすことができるという証拠だ」とコメントをした。この大会に7000万ドル(約82億円)を投資した生物工学会社セロノ社長のベルタレッリ氏は「アメリカズ杯に参加することは夢にはみていたが、勝つとは夢にも思っていなかった。14カ国の国籍を合わせた我々のチームを誇りに思う」と語った。スイス郵便局は「アリンギ・スイス」と書かれた記念切手を近く発行する予定だ。

チームの構成

 アリンギは全部で100人のチームで世界最高の16人の船乗りが集められ、ニュージーランド人を7人も引き抜いた。このため、2000年にア杯でチーム・ニュージーランドを優勝に導いて、アリンギに移籍したクーツ艇長と戦術担当のブラッド・バターワース氏が「裏切り者に教訓を与える」と書かれた脅迫状を送りつけられたという。

レースの経過

 第1戦では防衛艇のチーム・ニュージーランドが故障トラブルで途中棄権、第2戦は7秒差でアリンギが勝利、第3戦もアリンギが3秒差で勝ち、第4戦目ではチーム・ニュージーランドのマストが突然二つに折れ、帆走不可能になった。第5戦でアリンギはスタートでリードを奪い常に優位にレースを運び45秒差で快勝した。

チームの勝因

 クルーにはスイス人が少ないが、船のテクニックはレマン湖畔のローザンヌにある連邦技術研究所が開発した。アリンギチームの確実な天気予報も勝利につながったとされる。人、モノ、金の勝負といわれているこのチャレンジだが全ての面で「チームワークができていた」と専門家はみる。

次期開催地は?

 アレンギが防衛艇となる次回大会の日程と欧州での開催地は勝者が選ぶルールで、海洋のないスイスは地中海か大西洋を選ぶことになる。スイス紙「トリビューン・ド・ジュネーブ」によると候補地にはフランスのマルセイユやセイト、スペインのマヨルカ、ポルトガルのカスカイシュなどが上がっている。

 3月8日にはチームを迎えるパレードがジュネーブのレマン湖のほとりで行われる予定。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部