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スイスインフォ本社訪問~ベルン

ベルンにあるスイスインフォ本社(swissinfo.ch)の看板 swissinfo.ch

スイスインフォのブログ「もっと知りたい、スイス生活」はスイスで生活する人にしか体験できない日々の暮らしやトレンド、食、文化、習慣、生活情報などを伝えることを目的として2011年9月よりスタートしました。現在、ブロガーは4名、ドイツ語圏とフランス語圏スイスから投稿しています。

 昨今はインターネットの普及で、自宅で仕事をしている方も多いかと思います。スイスインフォ(swissinfo.ch)の正社員でないブロガーも、期日までに投稿記事を書いてスイスインフォの日本語編集部に電子メールで送信、連絡の際もほとんどメールで交信、とインターネット上で仕事をしています。距離的な理由もあり、これまで顔を合わせたことがなかったブロガー同士ですが、そんな私たちに2013年の春、スイスの首都ベルン(Bern)にあるスイスインフォ本社を訪問する機会がありました。

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 1935年に設立されたスイスインフォは、元々はスイス国際放送局として、短波ラジオを中心に報道を行っていましたが、現在はスイス放送協会(SRG SSR IDEE-SUISSE)の一企業としてインターネットを通じてスイスの情報を伝えています。

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 ベルンには本社の他にスイス連邦政府の記者クラブに支局があり、さらにチューリヒ(Zürich)とジュネーブ(Genéve)にも支局を置いています。ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語、中国語、日本語、そして2013年1月17日からはロシア語と、スイスに関心を持つ世界中の人々、そして在外のスイス人を対象に10ヶ国語でサービス。まさにインターネットのアクセスさえ可能であれば、世界中どこにいても最新のスイス情報が入手できるのです。

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 残念ながらチューリヒ州エグリザウ(Eglisau)の森竹コットナウ由佳さんは一時帰国中であったため参加できませんでしたが、ジュラ州(Jura)ポラントリュイ(Porrentruy)のマルキ明子さん、グラウビュンデン州(Graubünden)シルス・イン・ドムレシュク(Sils im Domleschg)に住むソリ-ヴァ江口葵さんと、ヴォー州(Vaud)レザン(Leysin)の私でスイスインフォ本社を訪問しました。ベルン駅で初めて顔を合わせた私たちに、フリーランスの日本人翻訳者の皆さんも加わってスイスインフォ本社へ。ベルン駅からトラムやバスで20分程度で到着します。

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 スイスインフォ本社はスイス国営ドイツ語放送(SRG)の建物内にあります。広々とした玄関ロビーには、8つのTVチャンネルを持つスイス国営放送の番組を映し出すTVスクリーンが並んでいます。また、建物の中にはカフェテリアもあり、一般のメニューから菜食主義者用のメニューまで揃っています。ガラス張りの明るく広い空間での食事は格別で、天気の良い日にはテラスでの食事も可能です。

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 特に素晴らしかったのは、1階のホールにあるルツェルン(Luzern)出身のアーティストで2013年2月に103歳になったハンス・エル二(Hans Erni)のモザイク壁画でした。ルツェルンにあるハンス・エル二美術館で見た壁画「パンタレイ(万物は流転する)」もダイナミックで圧倒されましたが、この壁画も一目でエル二とわかる作風で迫力があります。「技術と通信分野」への情熱を持つハンス・エル二の作品が、スイスインフォの本社内に存在することは納得できることで、このホールは多目的なスペースとして利用されているとのことでした。

 マルチメディア、マルチリンガル、マルチカルチュラルなスイスインフォ。オフィスは国ごとに分かれていて多国籍です。日本語編集部の場合は、記者3名とマーケティング担当者1名の計4名の日本人女性が切り盛りしています。情報を迅速に、正確に伝えるだけではなく、いかに言語の壁を破って簡潔でわかりやすい日本語に翻訳したり、記事を書いたりするかというチャレンジに日々直面している彼女たち。本社を訪問して以来、スイスインフォが掲載する様々なジャンルの記事をクリックする度に、スクリーンの背景にある彼女たちの真剣な仕事ぶりを思い浮かべるようになりました。

 そして、マーケティング担当者の「現在のところブログを掲載しているのは日本語サイトだけですが、その順調な伸びに他の言語サイトでもブログの導入を検討する可能性があります」という話に勇気付けられました。今回のスイスインフォ本社訪問について、マルキ明子さんとソリーヴァ江口葵さんからいただいたコメントをここに紹介します。

 マルキ明子:「2011年10月からスイスインフォのブロガーをしています。主題探しが大変な時もありますが、毎回楽しみながら執筆しています。この日は、社員の方に近代的な造りの社内をご案内いただき、また、思いがけなくハンス・エルニの壁画も見られて感激しました。スイスインフォ関係者の皆様とは普段はインターネット上でのお付き合いなので、貴重な機会でした。残念ながらブロガー組は全員集結できませんでしたが、スイスの最北西に住む私としては、南西の州に住むなづなさん、南東の州に住む葵さんと実際に会ってお話しすることで、精神的にぐっと距離が縮まり、より連帯感が生まれたような気がします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」

 ソリーヴァ江口葵:「2012年3月からブロガーとなり、ようやく季節が一めぐりしました。スイスは地域によって気候も人々の暮らしぶりも文化も全く違うので、身近な地域のことを伝えていきたいと思っています。本社訪問では、スイスインフォの豊かな国際性を改めて強く感じました。世界各国の人たちが隣り合って仕事をし、英語、ドイツ語、フランス語、そしてそれぞれの言語が飛び交っていました。スイス各地から集った私たちブロガーも日本語で話をする一方でふと出てくる現地語がドイツ語とフランス語に別れていて、スイスならではだなと思いました。今までネット上でのお付き合いだけだった明子さんやなづなさんに知り合いになれて嬉しかったです。こうしたご縁、大切にしたいと思います。」

 私自身は2012年5月からブロガーとして投稿しています。お二人のコメントにもあるように、やはり人と人との交流から生まれる心の触れ合いは、どんなにインターネット上での繋がりが拡大しても、それに勝るものであることを実感したスイスインフォ本社訪問でした。今後もスイスインフォのマルチメディア界におけるイノヴェーション(革新)に期待したいものです。

小西なづな

1996年よりイギリス人、アイリス・ブレザー(Iris Blaser)師のもとで絵付けを学ぶ。個展を目標に作品創りに励んでいる。レザンで偶然販売した肉まん・野菜まんが好評で、機会ある毎にマルシェに出店。収益の多くはネパールやインド、カシミア地方の恵まれない環境にある子供たちのために寄付している。家族は夫、1女1男。スイス滞在16年。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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