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スイス中銀総裁ヒルデブラント氏、辞任

辞任を発表したフィリップ・ヒルデブラント総裁 Reuters

スイス国立銀行(SNB/スイス中銀)のフィリップ・ヒルデブラント総裁は1月9日午後3時すぎ、同銀行のベルン本社で記者会見を開き辞任を表明した。

ヒルデブラント氏のカシュア夫人が行った為替取引でインサイダー取引が疑われたが、1月5日の時点では「違法行為は行っていない」として辞任はしないと発表していた。

 今回の発表は、スイス連邦議会の経済委員会が、ヒルデブラント氏とエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ大統領(財務大臣兼務)、及びスイス中銀監査役会のハンスウエリ・ラッゲンバス会長に対し、質疑を行う予定の時間に行われた。

 昨年9月にスイス中銀は長期間続くスイスフラン高のため為替介入を行い、1ユーロ=1.2フランに固定すると発表。そのためスイスフランはドルやユーロに対して急落したが、その発表の3週間前の8月にスイスとアメリカの二重国籍を持つカシュア夫人は、50万ドル(約3847万円)分のドルを買い、その後再び(スイスフランが値下がりした後)スイスフランを買い戻した。

 この取引で得られた7万5000フラン(約600万円)の利益は、話が公になり始めたクリスマス前、「登山家のためのスイス救助協会」に寄付された。

妻の独自の行為とは証明できない

 先週、今回の為替取引をヒルデブラント氏は「短期で資産を増やすための投機ではなく、家族の資産を長期的に異なる通貨に分散するのが目的だった」、また「エコノミストでもあり、独立した性格の妻が1人で行った取引」とも語っていた。

 しかし、9日の記者会見では、辞任の理由を「結局妻が独自に行ったということが完全に証明できないため」とした。さらに「辞任の決意によってスイス中銀の信頼性が保たれることを望む」と述べた。

 なお、スイス中銀総裁の任務は、臨時に副総裁のトマス・ジョルダン氏が務める。

2010年、史上最も若く総裁に就任した。

総裁になる前、ヒルデブラント氏はスイス人としては例外的なキャリアを積んだ。オックスフォード大学、ハーバード大学、ジュネーブ大学などで学んだ後、ワールド・エコノミック・フォーラムや、ロンドンとニューヨークのムーア・キャピタル・マネジメントで働いた。

スイスの国内水泳競技大会で2度優勝を飾ったスポーツマン。

また、その長身(1メートル94センチ)とエレガントな容貌にもかかわらず、スイスメディアは決して「ショーマン的」な取扱いはせず、「冷静な判断力を持つ、まじめで謙虚な人物」として扱ってきた。

スイス中銀は、そのコミュニケの中で「国際的なネットワークを持つ、優れた銀行家を失うことになる。彼はスイスの金融界に今後大きな貢献を果たすはずだった」と述べている。

及び外電

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