スイスで注目される「ソバ」 地産地消に向け研究進む
スイスでも昔はソバの実を料理に使ったものだが、今ではすっかり見かけなくなった。今も残る食品と言えば、スイス東南部ポスキアーヴォの伝統食品「ピッツォーチェリ」(ソバ粉のパスタ)くらいだろうか。そんなソバに、再び注目が集まっている。
日本人にとって蕎麦は、日本の文化に根ざした食材だ。ソバ粉100%の10割蕎麦、と言いたいところだが、麺をつなぎコシを出す「グルテン」という成分を含まないため、小麦粉を混ぜて作るのが一般的だ。反対にグルテンを避けたい人にとって、ソバは貴重な食材だ。スイス農業にとってもメリットの多い作物だという。
種の保存に努めるスイスの非営利団体「プロ・スペシエ・ララ(Pro Specie Rara)」はそのため、スイスにおけるソバ栽培の促進に乗り出した。今月末には連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と共同でシンポジウムを外部リンク開催。農業、飲食業、販売業を一堂に集め、スイスでの栽培に適した品種研究の進捗などを紹介する。
おすすめの記事
作物のゲノム編集を巡る論争 ポイント解説
なぜ、ソバが注目されているのか。プロ・スぺシエ・ララで様々な品種を農業生態学的に研究するアンドレア・シュタイネッガー氏は、「ソバは(主食の米や小麦を補う)雑穀として貴重な食物だ。スイスで栽培されている他の植物との輪作にも適し、乾燥に強く肥料をあまり必要としない」と説明する。
ソバも、米や小麦と同じ「穀物」だと思うかもしれないが、植物学的には「疑似穀物」に分類され、タデ科多年草のルバーブやスイバの方が近い植物だ。「ソバはかわいらしい花を咲かせ、私たちの目を楽しませてくれる」
連邦経済省農業研究センター外部リンク(Agroscope)によると、スイスでソバは「貧民の食べ物」として知られ、グラウビュンデン州ポスキアーヴォは名産地の一つだった。だが1950年代半ばに荒廃し、当時の品種は現存していない。まさにミツバチの存在により「収穫時期を決めるのが難しく、収穫に多大な労力を要する」という。
ヘス氏はETHZの研究の一環で、170種類に及ぶソバの品種をスイスで試験栽培している。十分な収穫を得られる品種はまだ見つかっていないが、「この試験栽培でソバの収穫量を増やし、安定したレベルにまで持っていきたい」と希望を語る。歴史的には、かつてスイスでもソバが栽培されていたという記録が残っている。
ヘス氏もシュタイネッガー氏も、ソバに大いに期待している。「オーツ麦も長らく忘れられた存在だったが、今やヘルシー食品としてすっかり定着した。ひょっとしたら、ソバも近い将来、そうなるかもしれない」(シュタイネッガー氏)
(レシピ提供:レストラン・カントンスシルト、所在地ガルミッツ)
材料(4人分)
オリーブオイル 大さじ3
タマネギ 中1個(みじん切り)
ニンニク 1片(みじん切り)
ソバの実 200 g(さっと水洗いして水を切っておく)
白のスパークリングワイン、又は白ワイン 500 ml
野菜ブイヨン 400 ml
牛乳 100 ml
塩・胡椒 適宜
作り方
深めのフライパンにオリーブオイルを入れて熱する。みじん切りにしたタマネギとニンニクをさっと炒める。次にソバの実を加え、焦げないように中火で半透明になるまで炒める。
スパークリングワインの4分の1を注ぎ入れる。汁気がなくなったらすぐにブイヨンの4分の1を加える。ワインとブイヨンを交互に加えながら、煮汁がなくなるまでこの作業を繰り返す。
最後に牛乳を加え、塩、胡椒で味を調える。
お好みでパルメザンチーズ(分量外)をかけて召し上がれ!
(レシピ提供:ハンスイェルク・ラドゥルナーさん、レストラン・スカロッタス、所在地レンツァーハイデ)
材料(ケーキ型26 cm)
バター 250 g(室温に戻しておく)
砂糖 250 g(150 g + 100 g)
バニラビーンズ 少々
卵 6個(卵黄と卵白に分ける)
シナモン 1、2ふり
ソバ粉 250 g
アーモンドプードル 250 g
クランベリージャム 400 g
粉砂糖 適宜
作り方
バターに砂糖150 gとバニラビーンズを加えてクリーム状に混ぜる。
卵を卵白と卵黄に分け、卵黄を少しずつバターに加える。シナモンを加える。もったりとしたクリーム状に混ぜる。
別のボールで卵白をゆるめに泡立てる。残りの砂糖100 gを加え、しっかりとしたメレンゲを作る。
ソバ粉とアーモンドプードルを混ぜ合わせ、②のクリームに加える。③のメレンゲをその上に滑らせるように加える。均一になるまで、ヘラでさっくりと混ぜ合わせる(混ぜ過ぎ注意)。
出来上がった生地を、バターを塗ったケーキ型(26 cm)に流し入れる。175度に予熱したオーブンで約1時間焼く。ケーキを型から取り出して冷ます。
ケーキが冷めたら水平に切り目を入れ二等分する。切断面にクランベリージャムをたっぷり塗り、ケーキを重ねる。粉砂糖を振りかける。
お好みでホイップクリーム(分量外)を添えて召し上がれ!
独語からの翻訳:シュミット一恵、校正:ムートゥ朋子
本投稿は独語圏のスイス公共放送(SRF)の記事を転載したものです。
おすすめの記事
ニュースレターへの登録
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。