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スイス、原発耐久検査の透明性を約束

ドリス・ロイタルト環境・エネルギー相 ( 左 ) とノルベルト・レットゲン独環境相 ( 右 ) Keystone

スイスのドリス・ロイタルト環境・エネルギー相は先週火曜日の4月12日、ドイツのノルベルト・レットゲン環境相とベルリンで会談し、スイスは欧州連合 ( EU ) の定める原発安全検査基準にのっとる可能性を示唆した。

このコンテンツは 2011/04/19 15:00
パオラ・カレガ, ベルリン, swissinfo.ch

ベルリンのスイス大使館で行われた記者会見の場で両環境相は、今後のエネルギー政策に関する会談は和やかに進んだと話し、両国は原発の安全検査への取り組みで意見が一致したと語った。

ロイタルト環境・エネルギー相は「スイスとドイツ両国ではすでに包括的な原発安全基準が施行されている」と、原発の安全性を強調。さらに、問題なのは原子炉に飛行機が墜落した場合などに備えていない国々であり、スイスの原発はそうした事態を想定して設計されていると述べた。

また、燃料棒を原子炉圧力容器の外に貯蔵する際、多くの国で安全性が問題となっていると指摘した。

安全検査の実施

スイスは EUが進めている原発耐久検査( ストレステスト ) を拒否しているのではとの批判に対し、ロイタルト環境・エネルギー相はそれを否定し、「国民はスイスの原発が安全かどうか一刻も早く情報を得たいと思っている。それに応えるため、われわれは EU の安全基準項目が出来上がるのを単に待つのではなく、ドイツ同様すでに原発の安全点検を始めた」と述べた。

ロイタルト環境・エネルギー相は、スイスで現在行われている安全検査は、今後 EU が定める安全基準に相応する考えを示し、「安全対策の専門家はヨーロッパの専門家と緊密に連携している。もし EU がスイスにない基準を策定する場合、スイスは後からそうした基準を受け入れる可能性もある」と語った。

また、スイスにある五カ所の原発を点検する際、安全検査の透明性を確保すると述べた。

問題のベツナウ原発

ロイタルト環境・エネルギー相はさらに、福島原発事故の後に再び原発への信頼を得るには事故解明が重要だと続け、「国民が原発に対し不安を抱くのは当然であり、われわれはそれにきちんと対応しなければならない」と述べた。

さらに、ベツナウ ( Beznau ) 原発の安全性を懸念する声に対しロイタルト環境エネルギー相は、「ベツナウ原発は監督官庁の定める安全基準にすべて合格している」と強調した。

ベツナウ原発は稼動開始から40年以上と古く、またドイツとの国境近くに設置されていることから、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州はベツナウ原発撤廃を先日スイス側に要求。さらに、ドイツの野党社会民主党 ( SPD ) と緑の党 ( die Grünen ) はアンゲラ・メルケル首相に、スイスに対しベツナウ原発廃止を求めるよう直談判した。

両党は今年5月からバーデン・ヴュルテンベルク州の与党となるため、今後ベツナウ原発廃止を求めるドイツからの圧力は強まる見込みだ。

連携した安全政策

ヨーロッパの原発の安全に関しレットゲン独環境相は、安全政策の連携が重要だと強調。福島原発事故を受け、原発に潜む危険性を新たに検討し直す必要があると述べた。また、安全とは単に数値で表されるものでなく、社会が納得したものでなければならないと話し、「問題は、われわれがどの程度の危険を受け入れる覚悟があるのかにかかっている」と表明した。

現在ドイツではエネルギー問題は重大テーマとして扱われており、レットゲン独環境相は今後もしばらくはその傾向が続くと見ている。

協力して問題を乗り越える

この会談でスイスとドイツの両環境大臣は両国における今後の発電問題を重点的に協議。水力や風力などの再生可能エネルギーの共同使用の可能性を示唆した。レットゲン独環境相は、国境を越えての電力連携は降雨量や蓄電などの問題に対処できると語った。

ドイツはノルウェーとも電力の連携を計画中だ。それによれば、2017年までに全長530キロメートルに及ぶ海中ケーブルが北海に敷かれるという。

フクシマ効果

ロイタルト環境・エネルギー相は、福島原発事故の影響で、スイス政府でもエネルギー政策が最重要課題に浮上したと述べた。また、エネルギー源の可能な組み合わせに関し、現在三つのエネルギーシナリオが構想されており、6月の国会で議論される予定だと語った。

シナリオによってはスイスは今後も原発を維持するが、別のシナリオには今ある五つの原発を全て廃止する構想も書かれている。

ドイツ、原発稼動期間で争う

原発の今後の見通しに関し、ドイツ政府と電力会社の両者は争っている。電力会社は利益率の高い原発の稼動期間延長を認めてもらう代わりに、3億ユーロ ( 約355億円 ) を今年と来年の2回支払うはずだった。

原発を所有する電力会社は、再生可能エネルギーのための基金への支払いを中止した。これを受け、ノルベルト・レットゲン独環境相は2010年に締結された原発の稼動期間延長を白紙に戻す構えだ。

レットゲン独環境相は独紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング ( Frankfurter Allgemeine Zeitung )」上で、電力会社が一方的に支払いを中止するとなれば、原発稼動期間の延長はあり得ないと述べた。また、支払いは稼動期間延長によってもたらされる付加利益に対して、電力会社が前払いするものだと語った。

福島の原発事故後、連邦政府は今後3カ月間の原発稼動期間延長停止を発動。その期間内にドイツの原発安全検査が実施される予定だ。

レットゲン独環境相は、ドイツのエネルギー・水道業界団体( BDEW ) が掲げる、2020年までに原発全廃という目標を支持しており、自らが所属するドイツ・キリスト教民主同盟 ( CDU/CSU ) が5月2日ベルリンで開く大会では、原発稼動期間の短縮に関して討議する予定だと話した。

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