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スイス外務省、グレンコアなど47企業を支援先から削除

労働組合の抗議活動
グレンコアの年次総会会場前で行われた労働組合の抗議活動。2018年、ツークで撮影  © Keystone / Alexandra Wey

スイス連邦外務省は、国のイメージダウンにつながるとして、鉱山・資源大手グレンコアなど数十社との企業支援契約を解消した。ドイツ語圏の日曜紙(電子版)が24日報じた。

外務省の国外向け広報機関「プレゼンス・スイス」のニコラ・ビドー代表は日曜紙NZZ・アム・ゾンターク外部リンクに対し「現在、鉱業は非常に物議を醸している。グレンコアとの提携でポジティブなイメージを提供することができない」と理由を語った。

同省による国外での企業宣伝に関するガイドライン外部リンクの厳格化が影響した。同ガイドラインは2019年、ドバイ国際博覧会のスイスパビリオンのスポンサーにたばこ大手のフィリップモリスを加える計画が批判を受け、厳格化された。

またイグナツィオ・カシス外相は同年、ザンビアのグレンコア銅山を視察し、銅山を高く評価するコメントを出したが、これも批判を呼んだ。

中央スイスのツーク州バールに拠点を置くグレンコアの広報担当者は米ブルームバーグ・ニュースに対し、「17年と18年に、私たちはスイス政府、商品取引企業やNGOと協力して、『国連ビジネスと人権に関する指導原則の導入のためのガイドライン』を作成した」と発言。その当事者の自社が外されたことに驚いたと話した。

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また、責任ある鉱業財団(RMF外部リンク)の比較分析では「グレンコアは20年3月、商品取引におけるデューデリジェンスと透明性に関し、非常に良い結果を出している」とも述べた。

武器とチョコレート

NZZによると、政府は支援する民間企業を昨年の83社から36社に削減した。

ガイドライン厳格化により支援対象から外れた企業には、スイス軍の公式サプライヤーを務める武器製造会社ルアグ(RUAG)や、最高経営責任者(CEO)がキリスト教福音派の信者で、同性婚や女性の中絶の権利に反対しているチョコレートメーカーのレダラッハなどが挙げられる。スイスインターナショナル・エアラインズ(SWISS)は昨年、レダラッハとの提携を打ち切った

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レダラッハは19年、在仏スイス大使館で開かれたイベント「Soirée Suisse(仮訳・スイスの夜会)」のスポンサーを務めた。

ビドー氏はNZZに対し「スイスのイメージが悪くなれば、スイスの繁栄も阻害される」と述べた。


※同記事の前文(リード)を2021年6月15日に更新しました。オリジナル版に記載されていた企業名を取り下げました

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