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スイスのスパコン、世界ランキング3位に浮上 日本は7位と8位に

the Swiss supercomputer piz daint
ティチーノ州ルガーノにある国立スーパーコンピューティング・センターの「Piz Daint」 Keystone

スイス南部ティチーノ州ルガーノにある国立スーパーコンピューティング・センターの「Piz Daint」が、スーパーコンピューター(スパコン)の世界ランキング「TOP500」で3位に浮上した。

 フランクフルトで開催中のスーパーコンピューターに関する国際会議(ISC)で19日、スパコンの世界ランキングが発表され、スイスの「Piz Daint」が3位にランクインした。

 チューリヒで開発され、イタリアとの国境に位置する山嶺にちなんで名付けられた同スパコンは現在、ルガーノの国立スーパーコンピューティング・センター(CSCS)外部リンクで管理されている。

 2013年から欧州最速として知られていた「Piz Diant」だが、連邦工科大学チューリヒ校外部リンクは昨年末、約4千万フラン(約46億円)を投じてシステムをアップグレード。スピードが3倍アップし、コンピュータが理論上達成しうる最高性能値を指す理論ピーク性能が25.3ペタフロップス、またシステムの浮動小数点演算性能を計測した「LINPACKベンチマーク」の実行性能で19.6ペタフロップスを記録した。

 上位2位は前回同様、中国の「神威・太湖之光(Sunway TaihuLight)」(LINPACK性能テスト93.0ペタフロップス)、「天河二号(Tianhe-2)」(LINPACK性能テスト33.9ペタフロップス)が占め、日本は東京大学と筑波大学が共同で運用するスパコン「Oakforest-PACS」が7位、理化学研究所の「京」が8位にランクインした。

 CSCSの計算化学者マリア・グラツィア・ジュフリーダさんはスイスインフォの取材に対し、「ランキングの結果は非常に喜ばしいことだが、ニュースに浮かれてはいない」と語り、「研究者たちにより良いスパコンを提供したい」と話した。

 中国がランキングの上位を占めたことについて、ジュフリーダさんは「無制限のリソースは何事も可能にする」とコメント。世界最早のスパコンを所有することは権威にも関わる問題だ、と続けた。「中国はランキング1位を目指して開発している」

 また、今回のランキングで上位から転落したものの、現在、中国の主なライバルとなっている米国のスパコン「Titan」や「Sequoia」は、システムのアップグレードを控えているとジュフリーダさんは話している。


(英語からの翻訳・大野瑠衣子)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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