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タブーの上限

「触れ合いさん」計画の首唱者ニナ・デ・フリースさんはドイツですでに成功を収めている。

(Keystone Archive)

精神障害者を対象にした「触れ合いさん」プロジェクトがスイス人のタブーに触れ、頓挫の危機にある。

障害者の支援協会であるプロインフィルミスは、精神障害者の性的要求に応じるソーシャルワーカー「触れ合いさん」を育てるプロジェクトへの資金的援助を断念した。プロジェクト発表後、寄付金が激減したのが理由。
さまざまなタブーが破られてゆく中、「触れ合いさん」はまだ馴染みのない職業らしい。

精神障害者の性的要求を満たすための「触れ合いさん育成」計画に障害者の支援協会としては中心的存在のプロインフェイルミスが資金的援助をすると発表したのは今年の4月。「触れ合いさん」計画は寄付金を寄せるスイス人にショックを与え、発表後の寄付金は激減。例年650万スイスフラン(5億5250万円)の寄付がある同協会だが、今年は確実に40万スイスフラン(3400万円)の減収となる見込みとなった。寄付者からの同意を得られないのであればと、計画への資金援助は、中止に追い込まれた。

同計画では、触れ合いのみで性交はしないと明言しているにもかかわらず、寄付者からは「売春には援助できない」と非難の声。さらに別の障害者援助組織も「精神障害者が触れ合いさんの役割を理解するのは難しい。仕事を愛情と混同する可能性が高い」と計画の危険性が指摘している。

計画は続行

 プロインフィルミスのペーター・ツムビュール広報担当は、「寄付金が直接、計画資金に回るわけではなく、別途の基金から援助する予定だった。寄付者の誤解だ。しかし、支援活動全体が麻痺するようなことにならないよう、断念せざるを得ない」と語った。

 12人の触れ合いさんを養成する計画の発表後、男女合わせて候補が300人も集まった。すでに同じような計画をドイツで成功させ、今回のチューリヒでの計画では育成者となっているニナ・デ・フリースさんは、
「必要な仕事だからこそ、続行する」
と決心は固い。

 プロインフィルミスは計画に少しでも関わる形で援助を検討中という。

2重にタブー

 スイスでは成人の売春は、1992年に発効した刑法195条で合法的な職業として認められている。人身売買、奴隷的扱いなどは違法だが、売春婦も納税し、退職すれば年金を受ける。触れ合いさんもソーシャルワーカーとして認められることになる。

 エイズ防止キャンペーンの広告にみる性のタブーが破られたのはすでに10年以上前。麻薬患者の治療法としての代用麻薬メタドンの配布やエイズ予防で麻薬患者に注射針を配給するなど麻薬患者対策におけるタブーも公の手で破られている。あらゆるタブーが次々と破られて来たが、
「セックスに対して、非常にリベラルでオープンであることを誇りにするような社会だが、障害者のセックスというタブーが重なると、理解されにくい」
と前出のツムビュール氏。

 スイスにおけるタブーの上限は現在、「触れ合いさん」にあるようだ。

スイス国際放送 マーク・レドソン(佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳)

キーワード

障害者支援協会の「プロインフィルミス」

全国年間18,000人の障害者の世話を請け負う。

国家援助と寄付金で運営される。

「触れ合いさん」はドイツ語の造語でBerührerin(触る人)

計画の影響で寄付金が40万スイスフラン減少。

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