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テロにも免疫がついてきた:観光業は好調

1997年のルクソール事件で一時落ち込んだエジプト観光も持ち直してきた Keystone

観光分野に関する国際研究会議 ( AIEST ) が8月末、スイスで開かれた。ここでの報告によると、自然災害やテロ事件に対し、観光客は免疫がついてきているらしい。競争は激化しているものの、観光分野の成長は堅調だ。

このコンテンツは 2006/09/10 15:26

集まった研究者は世界各国から約70人。これまでと今後の観光分野の動向について調査や分析が行われた。

香港のシュテファン・ビット工科大学客員教授の基調演説によると、現在、世界で起きている紛争やテロへの不安、自然災害などは、世界全体で見た場合、旅行の計画自体をあきらめるほどのものではない。

テロ事件にも慣れてきた

ビット教授は、「世界全体から見ると、予期できない出来事は、観光業の打撃にはなりません」と話す。「なぜなら、人々は値段や安全上の理由から旅行の計画を取りやめる代わりに、他の観光地にでかけていくからです」

教授が行った調査によると、2001年にアメリカで起きた同時多発テロ事件と2年後にアジアで発生したSARSは、例外的に観光業に打撃をもたらしたケースだ。

同教授はスイスインフォの取材に、「最近のロンドン空港でのテロ未遂事件や、2004年と2005年に起きたスペインとロンドンの地下鉄爆破テロ事件の後、スイスは安全な観光地として注目されています」と答えた。

ザンクトガレン大学のトーマス・ビエガー教授によると、多発する最近のテロ事件に対して、旅行客はだんだん免疫がついてきている。今年、エジプトの海岸リゾートで起きたテロ事件でも、ホテルの予約はほんの少し減少しただけだった。1997年に起きたルクソールのテロ事件では、テロ事件以前の状態にまで観光客が戻るのに12カ月もかかった。

一方、世界観光協会 ( World Tourism Organization ) がまとめた統計によると、先進国とインドなどの新興国では、海外への旅行に年々消極的になってきている。

観光客争奪戦をいかに勝ち抜くか

2005年、世界中で8億人が観光旅行に出かけた。これは記録的な数字だ。例えば、ドイツでは2回以上観光旅行に出かけた人が58%にものぼった。これは過去30年で2倍に増えた計算になる。

ドイツのキール観光研究所のウルフ・ゾンターク氏は「ドイツ人がこれからも旅行に出かけることは間違いありません。問題なのは、どこに出かけるか、そこで何をするか、ということでしょう」と言う。つまり、選択の問題なのだ。近年、航空業界の再編のおかげで早くて手軽に旅行ができるようになった。

このため、観光市場の競争が激化している。これを生き抜くために、スイスは「安全である」こと以外にも何か魅力をアピールする必要がある。連邦経済省経済管轄局のペーター・ケラー観光局長は「夏にスイスに来てくださる観光客に、どのようにしたらもっと滞在期間を延ばしてもらえるかを考えなくてはいけません」と指摘する。

「他の産業とも協力して、限定された市場に集中する必要があります。スイスの健康関連のクリニックは世界的に有名ですからね」。さすがAIESTの会長でもあるケラー局長、アイデアは次から次へと湧き出てくる。「政府は、安くて有名な航空会社、イージー・ジェット ( easyJet ) などをもっと活用して、特にイギリスとスペインからの発着許可を増やすべきです」

「また、スイスの大学で修士号を出すようにすれば、ロンドンやバルセロナから学生が多くやってくるでしょう。これもスイスへの旅行客を増やす一手段です」

swissinfo、デイル・ベヒテル ポントレジーナにて 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ )

キーワード

2006年のAIEST会議は8月27日から31日にかけてスイスのポントレジーナで開かれた。
今年のテーマは「観光業の需要動向」

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補足情報

-同会議では、インターネットなどの新しいメディアに対応したマーケティングも議題にあがった。

-AIESTは戦後、ザンクトガレン大学とベルン大学の共同研究所の主導で設立された国際会議。

-1951年、ローマで最初の会議が開かれた。

-AIESTの目的は「観光の促進に向けた研究・活動」。

-2006年の会議は20年ぶりにスイスで開かれた。

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