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ドーピングに無防備

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スイスの若い自転車競技選手はドーピング薬に対し無防備で、また道徳的にも関心が薄いことが判明した。

ローザンヌ大学のスポーツ心理学者バネッサ・ランティヨン氏は、将来プロになるスイスの自転車競技選手たちのドーピングへの関心を「世界反ドーピング機関 ( WADA ) 」から依頼され調査した。23歳以下の8人にインタビューした結果、彼らはドーピング薬の健康被害への知識がなく、いつか1回はドーピングを行うだろうと語ったという。

swissinfo : 若い自転車競技選手たちと、ドーピングについて話すのは簡単でしたか。

ランティヨン: 誰も私の質問を拒否することがなかったので、ちょっと驚きました。それにほかの競技者のドーピングに関してはかなりオープンに話してくれました。さすがに自分自身に関しては、あまり直接に話してはくれませんでしたが。

スイスの自転車競技界は規模が小さいので、調査しやすいということはあります。選手に絶対に個人の秘密は守るという保証をしてインタビューすると、かなりの情報を得ることができました。お陰でドーピングで何が起こっているかをまとめることができました。

swissinfo : 調査で、若い自転車競技選手たちが将来1回はドーピングをやるだろうと言ったそうですが、この事実に驚きませんでしたか。

ランティヨン : ドーピングを行うことにそれほどためらいがないという事実にはショックを受けました。ドーピングにとても興味を持っていて仲間うちでもしばしば話題にし、またドーピング経験がある先輩の選手に話を聞いたりしているのです。彼らにとって、ドーピングは個人的な選択で、キャリアの中でいつかやるものだと考えています。

swissinfo : こうした態度はスイスの競技者に特有なものですか。

ランティヨン : フランスやベルギーの若い自転車競技選手たちはドーピングに対し、より厳格で否定的な態度を示しています。スイスの競技者はドーピングに関する充分な情報を得ていないので、こうした態度を取るのではないかと思われます。

自分たちでドーピングに関する情報を探し、それもインターネットや先輩からの情報だけです。スイスの小さな自転車競技界では、ドーピングに対するきちんとした意識がまだ確立されていないようです。

swissinfo : しかし、ドーピング薬が健康を害するということを知らないのでしょうか。

ランティヨン : 質問をした若い競技選手の誰一人として、ドーピングが健康を害すると答えた者はいませんでした。ある1人はドーピングをしないほうが危険だとさえ言いました。問題はドーピング予防、つまり意識改革がスイスではまったく行われていないということです。

swissinfo : 自転車競技のドーピングの状況は、ほかの競技でも同じですか。

ランティヨン : 自転車競技界には明らかにドーピングの伝統があります。しかしほかの競技にもかなり浸透しています。例えばサッカーやテニスですが、この競技界には不透明な部分が多いのです。競技連盟がドーピングの事実をしばしば隠すからです。そのせいもあり、自転車競技のドーピングが特にメディアをにぎわしているのです。

swissinfo : 欺瞞的な環境のまま放置しておくより、いっそドーピングを自由化したほうがいいのではないでしょうか。

ランティヨン : ドーピングの自由化には断固として反対です。法規制がなければ限界がなくなり、とんでもない状況が生まれることは確かです。実際、コントロールがあるお陰で競技者も慎重になり、またドーピング薬が禁止されているお陰で、入手方法も複雑で込み入っている訳ですから。

swissinfo : 自転車競技のアマチュア選手たちは、ドーピングに対してどういう態度ですか。

ランティヨン : 実は連邦保健局(BAG/OFSP)から依頼された別の調査で、16歳から22歳までのアマチュアの全スポーツ選手1810人について調べています。第1回目の調査結果では、ドーピングに一番侵されているのが格闘技スポーツです。全スポーツの6.7% を占める柔道が、ボクシングを抜いてドーピング率で1位を占めています。次に屋外スポーツの、スキー、スノーボード、そしてサッカー、ホッケーなどの団体スポーツが続きます。

自転車競技は、なんと14番目です。ところで、自転車競技のアマチュア選手たちが出会う初めてのドーピング薬は、実は治療を目的に使用が許可されているコルチゾンなのです。

swissinfo、聞き手 サミュエル・ジャベルグ  里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳 

ランティヨン氏が行った調査

ローザンヌ大学のスポーツ心理学者バネッサ・ランティヨン氏は、将来プロになるスイスの自転車競技選手たちのドーピング状況を「世界反ドーピング機関 ( WADA ) 」から依頼され調査した。

WADAは、フランス、ベルギー、スイスでのドーピング状況調査を行い、ランティヨン氏はスイスの調査を担当した。途中の調査報告が雑誌「プシコトロップ ( Psychotropes ) 」の2008年1月号に掲載された。最終報告は2009年9月に出版される。

23歳以下の、プロとしてスタートする8人の選手にインタビューした調査によれば、彼らはドーピング用の薬をいつか使うだろうと告白し、しかしそれはプロになってからだと語ったという。また、ドーピングによる健康被害を認識していなかった。

ランティヨン氏は、ドーピングによる健康被害を認識させる、健康予防キャンペーンをすぐに起こすべきだと語り、また自転車競技関係者ももっとドーピングの知識を増やすべきだと結論している。

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