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ネスレの新パッケージに非難の集中砲火

ちょっとほろ苦い味?環境団体には不評だったカイエの新パッケージ(写真提供;ネスレ)

食品分野の世界最大手、ネスレが人気商品を新しいパッケージに包んで発売を始めた。しかしこれがスイス中で大問題になっている。

非難の的となっているのはネスレ傘下の企業、フリゴールのチョコレートで、商品名はカイエ(Cailler)。新しくお目見えした同商品はポリエステル樹脂(PET)の包装を使って、より高級感を出している。

 カイエが従来の物より高級感漂うパッケージに変身して、大々的な宣伝と共に売り出されたのは今年2月。ところが、待ち受けていたのはマスコミの袋叩きだった。

リサイクルできないからといって環境に悪いとは限らない

 カイエは、スイス人にとって、昔からお馴染みのチョコレートだ。1819年にフリゴールから発売された。フリゴールは、1929年にネスレに買収され、現在、カイエはネスレ・スイスの販売総額の12%を占めている。この昔ながらの人気商品に対し、ネスレは新パッケージで高級感を出し、更なる売り上げ促進を狙った。新しいデザインを依頼されたのは、フランスの有名建築家ジャン・ヌーヴェルだ。

 ところが発売1ヵ月後、フランス語圏の消費者団体FRCは、「このパッケージはリサイクルできない」とネスレを非難する調査結果を発表した。しかも100グラムのチョコレートに50グラムのパッケージが使われているのだ。この発表が新聞からテレビまで、全国的な非難の集中砲火のボタンを押した。

 飲料水のペットボトルもポリエステル樹脂(PET)が使われているが、これはリサイクルが可能だ。しかし今回カイエの新パッケージには、リサイクルできないPETが使用された。これでは焼却処理して、そのまま二酸化炭素を空気中にばらまくことになる。

 懸念材料は次々に出てきた。調査結果では、新パッケージは以前のものより5倍も環境に悪い影響を及ぼすという。

 ネスレの広報、フィリップ・オルトル氏は、スイスインフォの取材に対し、「新パッケージがリサイクルできないからといって、環境に悪影響を与えるとはいえません」と答えた。「反対です。これは、ゴミから出たエネルギーを再利用できる特別な焼却場で処理されるのです。つまり、このPETの焼却によって出るエネルギーは、いずれ電気や遠距離暖房となって有効に利用されるわけです」

過剰包装はまた別問題

 しかし、連邦環境局のゴミ処理担当局長、ハンスペーター・ファルニ氏は違う意見だ。「このようなパッケージを使うことは、環境にとって一歩、悪い方向に進んだと言えます。10グラムのパッケージが50グラムになったからといって、大きなことではないと言う人もいるかもしれません。しかし、それが環境にとって良いかどうかというと、良いはずはありません。不必要な量のパッケージは、環境にとって不必要な負担なのです」

 しかし、結局のところ、この商品の価値を決定するのは消費者だろう。「多くのスイス人は自分たちが何を買うかという事に非常に敏感です。もちろん予測は難しいですが、私はこのような高級感あふれるパッケージは、消費者から敬遠されると思いますね。もちろん、ギフト用やちょっと贅沢な気分を味わいたい時にこのようなチョコレートを買う人もいるでしょうが」とファルニ氏は言う。
 
 ファルニ氏によると、連邦政府が企業と新しいパッケージの導入について話し合うような制度はない。しかし、今回問題がマスコミに大きく取り上げられたことによって、今後ネスレの関係者と意見交換する場を持つことはありえるという。

 「彼らにさらなる情報提供を求めたり、過剰包装は良くないと意見することになるかもしれません」

swissinfo、ファイヤル・ミルツァ 遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

補足情報

‐リサイクルされないゴミの総数は毎年250万トン。このうち1割がプラスチック。

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キーワード

PETとは、polyethylene terephthalate(ポリエステル樹脂)の省略。ペットボトルに使われている。
毎年スイスでは4万トンのペットボトルが消費される。
そのうち4分の3がリサイクルされる。

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