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ノルディック・ウォーキングで健康になろう

この方法で減量するのはいかが?アルプスの山でも「ノルディック・ウォーキング」が流行。 swissinfo.ch

歩くことは人間の基本で、ハイキングは昔からあったスポーツ。一種「古臭い」イメージがあるハイキングだが、新しく工夫が施されたことで、フィトネスにもつながると再認識されている。

スキーのクロスカントリーからアイディアを頂戴し、両手にストックを持ってアルプスの山々を歩く方法を学ぶ教室が今年の夏は人気を博しそうだ。

場所は、ベルナー・オーバーラントのカンデルシュテーク。イギリス人のハイキング・グループに新しいハイキング方式を教えるのは、カシミール・プラツアーさん。現地の旅行会社は、旅行者にハイキングのパッケージの売り込みに力を入れている。プラツアーさんのようなインストラクター付きのパッケージで、「ノルディック・ウォーキング」を教えるコースが人気だ。コースでは、「体重の4割を腕と上半身にかけ、ひざやヒップの負担を軽くするように歩く」と指導される。スキーのクロスカントリーに使うようなストックを両手に持ち、さらに体に負担をかけるのが新しいハイキングのポイントだ。

パッケージとして売り出す

 クロスカントリーの選手の夏季の練習方法として「ノルディック・ウォーキング」は1930年代から使われてきた。フィンランドでは、これが一つのスポーツとして7年前から広がり、スポーツ用品メーカが目をつけ、人間工学に沿ったデザインで軽量のストックや専用シューズなどの用具を販売するようになったという。

 「ストックを使うとほとんどすべての筋肉が動くので、使わない時より4割ほど多くエネルギーが消費される」とプラツァーさん。プラツァーさんはホテルを経営しながら、インストラクターもしている。「ノルディック・ウォーキング」を旅行者に勧めるのは「健康にもよいし、ホリデーから帰ってからの仕事の能率も上がる。それに、やり方次第では、アルプスの観光活性化にもつながる」と期待するから。

 プラツァーさんは観光局とタイアップして、「ノルディック・ウォーキング」の初級コースにホテルの宿泊をパッケージで提供している。パッケージには、ホテルからハイキングのスタート地点までの送迎車の利用、食事、用具のレンタル、ウォーキング教室参加料も含まれる。 

 「ノルディック・ウォーキング」はカンデルシュテーク以外に、中央スイスのグラウベンベルク、ヴォー州のゴムスなどでもできる。いずれのハイキングコースも、従来のスキーのクロスカントリー・コースを新しく整備したものを使っている。

初めて歩く気持ち

 「生まれて初めて歩くような気がする」とすっかり息切れの、ジェレミー・フィッシャーさんは、新しいハイキング方法をしっかり学ぼうと懸命だ。英国から家族でカンデルシュテークに休暇で来た。指導による脚の動かし方は、今までやったことがない。

 「年とともに歩く時に杖といったサポートが必要になってくるものだ。ストックの使い方に興味があってねえ」とフィッシャーさんの義理の父のボビー・ロブソンさんが語る。「クロスカントリーは健康的だと知っていたし、ノルディック・ウォーキングもそれに関係あると思うけど、すごく疲れるわね」とロブソンさんの娘のソフィーさん。彼女は、ヨガ、ジョギング、ダンスもこなすため、膝に負担が掛かりやすいが、「この歩き方だと、調子が良いみたい」と満足だ。

新しいアトラクションとしての期待

 「ノルディック・ウォーキング」を推進する協会がスイスにも新しく組織され、ケーブルカーの運営会社との提携も行われている。よりタフな運動を求める人たちに、ICカードのようなものを格安で買ってもらい、帰りはケーブルカーを使うことができるようなサービスを提供する。ICカードが使われると、コンピュータに客の動向の情報が保存され、今後の運営作戦の参考にできるようなっている。

 猛暑で雪が少なくなり、ウィンタースポーツ客が減少しつつあるスイスリゾート地。ノルディック・ウォーキングなどの新しいスポーツで、客足が戻るかどうか。ハイ・シーズンとなる今年の夏が注目される。

スイス国際放送 デール・ベヒテル (佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳)

ノルディック・ウォーキング
1997年からフィンランドで始まった。
体の9割を動かすのでエネルギー消費率が46%上がる。
心臓の動きは13%速くなる。
1時間で400カロリーまで消費。
普通のハイキングだと280カロリーが限度。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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