ナビゲーション

ナビゲーションへ

グローバルメニュー

ファクトチェック スイス人の大半が金持ちというのは本当か?

毛皮を着てシャンパングラスを持つ女性

スイスの大半の人は金持ちで、ダイヤモンドの指輪や毛皮、サンモリッツでの休暇を手にするような余裕があるのだろうか?

(© Keystone / Christian Beutler)

読者からスイスインフォに、「収入が低くて基礎医療保険料といった基本的な生活費を払えない人がスイスにもいるという話は本当なのか?」という質問や、「スイスの多くの人はお金持ちなのか?」という投稿が寄せられた。スイスインフォが検証する。 

裕福な国というスイスの評判はゆるぎない。成人1人あたりの純資産額では、数年連続でスイスが世界のトップに立っている。また、数週間前に出た二つの異なる調査結果では、スイスが億万長者の多い国トップテンにランクインした。 

だが、数字を見ただけではその国で暮らす人が金持ちだと判断することはできない。読者から投稿されたスイスにまつわる疑問について検証する、スイスインフォのファクトチェックシリーズの一環として、今回はもっと身近な現実について明らかにする。裕福さは全て、相対的なものといえそうだ。 

マネー、マネー、マネー

プライベートジェットや湖畔の別荘、豪華なリゾート地でのスキー休暇…。多くの人がスイスという国と大金持ちを連想するかもしれない。スイス金融大手のクレディ・スイス他のサイトへによれば、スイスには5千万ドル(約52億円)以上の純資産を持つ、いわゆる超富裕層が2650人居住するという。100万ドル(約1億円)以上の資産所有者は、調査によって異なるが38万4千~50万世帯にのぼるといわれている(スイスの人口は840万人)。 

超富裕層に蓄えがあるのは疑う余地はないが、そうでない人にどれだけ資産があれば「金持ち」とみなされるのかは明確ではない。 

連邦統計局(BFS/OFS)は、スイスの「金持ち」を定義していない。「世界最大のウェルスマネージャー」とアピールするスイスの金融大手UBSも同様。「金持ち」かどうかを判断する最低額はないものの、富の分配データを見るとどの層にどれだけのスイス人が属しているかが分かる。それによると、多いのは100万ドル以上の層ではなく、過半数が属する、資産額10万~100万ドルの層だ。

Wealth distribution 2018

Wealth distribution in Switzerland in US dollars, 2018

実際には、100万ドル以上の人の数は1万ドル以下よりも少ないことが分かる。さらに、上位20%の人が下位20%の5倍以上の収入があり他のサイトへ(日本は6倍)、スイスにも他の先進国と同じように格差がある。 

連邦統計局は、スイス人口の大半は裕福でも貧困でもないと位置付けており、人口の57.5%は中間所得層他のサイトへ、つまり世帯収入が中央値の70~150%の層に属している。それ以上の収入がある場合を「高収入」とみなすものの、「金持ち」という言葉を避けている。

外部リンクへ移動

Income thresholds determining middle class membership by different types of households.

そこそこ裕福

数字だけを見れば、スイスの中間所得層は金持ちだと思われるかもしれない。スイスはルクセンブルクに次いで所得中央値が欧州で2番目に高い他のサイトへことも事実だ。 

だが個人が「裕福」と感じるかどうかは、どこに住んでいるかにも大きく左右される。「物価高の孤島」とも言われるスイスでは、口座残高がみるみる減っていくこともある。スイスは、欧州で食べ物が最も高い国であり、服やホテル、レストランの料金が高い国の一つでもある。 

2016年の月収中央値は6502フラン(約70万円)。だがこれはスイスの高い生活費を辛うじてカバーできる額だ。家賃、税金、各種社会保険料を払い、生活に必要な費用を支出すれば、貯蓄にまわせる額は収入の15%ほどだ(連邦統計局報告書他のサイトへ)。 

月収5千フラン以下の世帯になると貯蓄ができず、特に年金生活者などは貯蓄を切り崩して生活する人が多い。 

貧困ライン

連邦統計局は「金持ち」を定義していないが、貧困層の定義はある。貧困層に入る家庭(成人2人+子供2人の世帯で月収3990フラン以下)は2014年以降着実に増えており、16~17年にかけて約10%増加している。スイス人口の8.2%が貧困層にある。 

また、15%の世帯で貧困リスク他のサイトへが高く、ひとり親世帯や義務教育以上の教育を受けなかった人、失業者などで貧困ライン以下の生活をしていることが多い。 

貧困から抜け出すためには職を得ることが重要だが、有職者の中でも4.3%がワーキングプアとみなされている。スイスでは10種に1種の職が低賃金で、およそ12%の人がそのような職に就いている。その多くは女性や外国人だ。 

かさむ出費

スイスでは貧富に関係なく全ての人に基礎医療保険への加入が義務付けられている。保険料は決して安くはない上に毎年引き上げられており、統計局によると2016年には保険料が世帯収入の6.2%を占めたという。 

スイス人口の4分の1他のサイトへが保険料の支払いを州や国の補助に頼っている。読者が疑問に思っていたことは正しかったようだ。家族、特にひとり親世帯がこの種の補助を必要としている。 

判定

スイスには多くの富裕層がいることも確かだが、人口の大半は統計局が示すように中間所得層に属する。数字だけを見ると平均的なスイス人は世界中の誰よりも恵まれているかもしれないが、実際には「物価高の孤島」とも呼ばれる国でどうにか月々の生活費を賄えるほどの収入しかない。 

だが金持ちか否かにかかわらず一つ確実に言えるのは、スイスは欧州の中でも高い生活水準他のサイトへを享受しており、豪華な別荘や超大型クルーザーを持っていなくても、自分の生活に満足している他のサイトへという人が多いということだ。 

※この記事は特集「ファクトチェック」シリーズの一環として、読者からの投稿をもとに構成しています。スイスやスイス在住者に関するあなたの「もっと詳しく知りたい」を以下の質問フォームから教えてください。

インフォボックス終わり

curiousvote

Voting embed to choose which story we should report next


(英語からの翻訳・由比かおり)

Neuer Inhalt

Horizontal Line


swissinfo.ch

公式アカウントはじめました!

公式アカウントはじめました!

subscription form

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。

ニュースレターにご登録いただいた方に毎週、トップ記事を無料で配信しています。こちらからご登録ください。