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ポランスキー監督 身柄の引き渡しに異議申し立て

Keystone

ロマン・ポランスキー監督は、スイス連邦司法局が下した身柄の引き渡し命令に異議を申し立てた。しかし、自宅監禁には合意しているという。29日にはミシュリン・カルミ・レ外務相が今回の逮捕に関して「細やかな配慮に欠けていた」と発言した。

ティチーノ州ベリンツォーナ ( Bellinzona ) にある連邦刑事裁判所は29日、フランスとポーランドの国籍を持つポランスキー監督 ( 76歳 ) から、アメリカへの身柄の引き渡しに関する異議申し立てを受け取ったことを認めた。決定はこの数週間のうちに行われる予定だ。

グシュタートのシャレーに自宅監禁

 決定は被告と原告がそれぞれの立場を明らかにしてから行われる。今回の異議申し立てが釈放の申請と関連しているのかどうかは今のところ不明だ。連邦司法警察省 ( EJPD/DFJP ) によると、保釈金を支払っての釈放もありうるが、厳しい条件付きだという。

 ポランスキー監督の弁護士によると、ベルナーオーバーラント地方グシュタード ( Gstaad ) にシャレーを持つ同監督は、引き渡しをめぐる裁判が行われてる間、ここに自宅監禁されることに対しては合意している。釈放されない場合、アメリカに身柄が引き渡されるまで数カ月間拘留されることになる。

 一方、カルミ・レ外務相は29日、ポランスキー監督逮捕に際して細やかな配慮に欠けていたことを認め、
「映画祭への招待を逮捕に利用した。このことには好感を持たれていない」
 と述べた。

 だが同時に、
「今回の逮捕は司法的には正しかった」
 と言い、エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ司法相同様、スイスがアメリカの気に入られようとしているという見方を強く否定した。

 オスカー受賞監督であるポランスキー監督の即座の釈放を求めて働きかける国際的なスターの数は増えるばかりだ。釈放を求める署名の数はすでに100を超えた。

 ポランスキー監督はこれまで何度もスイスに滞在し、ベルナーオーバーラントにはシャレーを所有しているが、去る9月26日、国際指名手配されているという理由でチューリヒで逮捕された。

 アメリカは2005年以降ポランスキー監督を指名手配しているが、スイスにポランスキー監督の逮捕命令を伝えたのは今回が初めて。ポランスキー監督は1977年、13歳の少女に性的虐待を加え、その犯行を認めた。しかし、1978年にはアメリカを逃れ、以来フランスを居住地としていた。

swissinfo.ch、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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