スイス、新規EUメンバーに資金援助
スイスは12月20日、欧州連合 ( EU ) に近年加盟した、東欧を中心とする10カ国との経済協定に調印した。
同協定の主な目的は、10カ国が市場経済へスムーズに移行できるよう援助することにある。
資金援助を受けるのは、ポーランド、チェコ、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロバキア、スロベニア、そしてマルタ、キプロス。スイスはすでにこれれらの国々に援助を行ってきたが、2006年の国民投票により、さらに10億フラン ( 約1000億円 ) の援助を決定した。
長期的視野に立った投資
ベルンで行われた経済協定の調印式では、ミシュリン・カルミ・レ大統領とドリス・ロイタルト経済相がこれら10カ国の代表を迎えた。
「今日の調印式には歴史的な意味がある。経済援助へのゴーサインがこれで行われたというだけでなく、この10カ国との関係に新しいページが開かれた」
と外相も兼ねるカルミ・レ大統領は強調した。また、
「EUが東欧への拡大によって被る経済的負担を、スイスも一部負担するという意味も持つ今回の援助は、長期的視野に立った投資でもある」
と語った。
一方ロイタルト経済相は、
「今回の経済援助によって、東欧諸国とスイスの経済関係が強化されるだけでなく、教育、科学、医療、環境、文化、政治などの分野での相互関係が強化されることを望む」
と述べた。
主にインフラの強化
スイスの援助金は、主に安全、環境、インフラに関するプロジェクトに使われる。
「特に貧弱なインフラを強化することが第一目的だが、国によって援助分野は違ってくる」
とカルミ・レ大統領。具体的には、連邦経済省経済管轄局 ( seco ) と外務省開発協力局 ( DEZA/DDC ) によって組織される、さまざまなプロジェクトが2008年1月からスタートする。
スイスはEUのメンバーではないが、EU27カ国はスイスにとって第1の貿易相手である。このため今回援助する10カ国に加え、EUに2007年加盟したブルガリア、ルーマニアに対するスイスからの経済援助も期待されている。
スイスはこれまでも東欧諸国の市場経済への移行を援助してきたが、EUとの経済協定の第2セットの一部として、東欧を中心とした新規EUメンバー10カ国に対し10億フラン ( 約1000億円 ) の援助を保証した。
ポーランドはこの援助額の約半分を、ハンガリーは1億3100万フラン ( 約131億円 ) 、チェコは1億1100万フラン ( 約111億円 ) 受け取ることになっている。
共産主義政権の崩壊後の1990年以来、スイスは35億フラン( 約3500億円 ) の資金援助を約1000のプロジェクトに対し行ってきた。
EUの非加盟国スイスは、2004年にEUに加盟した10カ国を含む27のEU加盟国のうち16カ国と2国間協定を結んでいる。
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