「ミッション・インポッシブル」?ヨーロッパ選手権出場のスイス・チーム
12日にポルトガルで開幕するサッカー欧州選手権「ユーロ2004」へ出場するスイスだが、クロアチア、イングランド、フランスと強豪がそろうB組に配分されたのは不運だった。ゴールを決めるためには、ベストコンディションで臨まない限り難しい。
欧州選手権におけるスイスチームのベストと記録されるのは1960年、8位の快挙を遂げたことくらい。しかし、サッカーへの国民の興味は他の欧州諸国と同様、高い。「Portugal 2004」中の「Report」をクリックし、世界のサッカーのイメージもご覧下さい。
「ユーロ2004」に出場するチームの下馬評によるとスイス・チームは、最下位のリトアニアの次の15位とランク付けられ、よい成果は期待できないと思われている。順位は国際サッカー協会(FIFA)のランクを元にしたもの。同じB組にはフランス、イングランド、クロアチアの強豪が揃っている。スイスは惨敗か?勝利の女神はスイスに微笑むのか?
ナショナルチームのヤコブ・クーンツ監督は「スイスは何も失うものはない。失う物を持っているのはフランスやイングランドだ。準々決勝まで進むのは難しいが、コンディション次第では可能性がないわけではないと思う」と希望を持っている。
以下、スイスと組むチームを分析する。
クロアチア・チーム
6月13日にあるスイス・クロアチア戦で両チームは、絶対に負けられない。勝てば準々決勝が夢ではないからだ。
スイスは負ければイングランドとフランスの両チームと戦うことになるが、両チームに勝つことはほぼ無理と見られる。クロアチアは1996年から実力を発揮し始めた。1998年の世界選手権でスカー選手などの活躍で3位まで上り詰めたことから、スイスより強いチームと見なされ、スイスがクロアチアに勝つためにはかなりがんばらければならない。
監督はオットー・バリッチ。注目される選手はダド・プリソ(FW)、イバン・クラスニッチ(FW)とされる。
イングランド・チーム
1996年の欧州選手権ではスイスとイングランドがオープニングを飾った。当時のスイス・チームのエース、クビライ・トゥルキマツがゲーム終了直前のペナルティで1点を上げ、1対1の引き分けとなり、イングランドは準決勝まで勝ち進むことができなくなった要のプレイだった。それから8年後の今回、イングランドは優勝候補チームの一つとして挙げられる。
一方、イングランドはチーム内でいくつかの問題を抱えている。リオ・フェルディナンド選手はドーピング事件で今回の欧州選手権には出場できない。デイビッド・ベッカム選手は女性問題のスキャンダルを起こし不安定。マイケル・オーウエン選手の精神面でのコンディションもベストではないと言われている。1966年の英国での欧州選手権では優勝したが、今回どれほど優勝が期待されるかは疑問。
フランス・チーム
フランス・チームには、ジネディーヌ・ジダン選手、ティエリ・アンリ選手、ダビド・トレゼゲ選手などギャラが100万ドルレベルの選手や、ベテランのマルセル・デザイー選手、ビセンテ・リザラス選手、ファビアン・バルテス選手など有名選手が目白押し。1998年の世界選手権で優勝したが、2002年ではゴールを一つも入れることができずに惨敗したのは記憶に新しい。今回の予選では一度も負けておらず、実力を取り戻したかのように見える。スイス・チームは昨年8月の対フランス戦で、0対2と負け、フランスチームの強さに触れた。
スイス・チームは7日、リスボンに到着。海の見える高級リゾートホテルに宿泊しながら、13日の対クロアチア戦に向け、調整を行っている。
ラファエル・ダンツェル(佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳))
スイスの対戦成績
対クロアチア 戦歴 なし
対イングランド 18試合のうち3勝11敗4引き分け
対フランス 32試合のうち13勝13敗6引き分け
スイス・チーム選手
DF ブルーノ・ベルナー、ベルント・ハース、ステファン・エンショズ、パトリック・ミューラー、ムラト・ヤキン、マルコ・ツウィーシク
FW ミライム・ラマ、ヨハン・フォンランテン、アレクサンダー・フライ、ハカン・ヤキン、シュテファン・チャプサ、ダニエル・ギガ
MD ルドヴィク・マグニン、クリストフ・シュピーヒャー、ヨハン・フォーゲル、トランキロ・バルネッタ、リカルド・カバナス、ラファエル・ヴィキ、ファビオ・チェレスティニ、ベンジャミン・フッゲル
GK ユルク・スティル、パスカル・ツーバービューラー、ファブリス・ボレル(順不同)
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